2020 年 57 巻 2 号 p. 144-150
BMI基準でやせ,普通,肥満の3群に分け,45–55歳の中年女性135名の血液検査を群間で比較し,エルゴメーター運動負荷の前・中・後3時点における心拍変動を比較検討した。基本属性では体重,最高血圧の2項目で3群間に有意差を認め,肥満群が最も高くやせ群が最も低い値を示した。心拍変動では,安静時及び運動最大負荷時は有意差を認めず,運動負荷終了後はCVRR,SDNN,LF,HFの4項目で肥満群が他の2群より有意に値が高く,逆にやせ群は有意に低く,特に低い値を示したのはLFであった。血液検査ではWBC,Hb,HDL,F-T4の4項目で3群間に有意な差を認め,WBC,Hbはやせ群が有意に低く,HDLは肥満群が低く,F-T4はやせ群が高かった。BMI18.5未満のやせ群では,肥満群に比べ運動負荷終了後の心拍変動が低く,背景にヘモグロビン値が明らかに低い事が示唆された。