自律神経
Online ISSN : 2434-7035
Print ISSN : 0288-9250
57 巻 , 2 号
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第72回日本自律神経学会総会
シンポジウム7/アミロイドーシスをめぐる病態と診療の最前線
  • 小池 春樹
    2020 年 57 巻 2 号 p. 106-109
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/15
    ジャーナル フリー

    遺伝性ATTRアミロイドーシスは,従来型の集積地と関連した若年発症例の他に,集積地との関連をみとめない高齢発症例が多く報告されている.集積地の若年発症例は小径線維優位の神経線維脱落を呈するのに対し,非集積地の高齢発症例は障害される神経線維の選択性が明確でないことが多い.集積地の若年発症例ではアミロイド線維に接したシュワン細胞の萎縮と基底膜・細胞膜の不明瞭化が目立ち,アミロイド自体による直接障害が小径線維優位の神経線維脱落に関与していると推測される.非集積地の高齢発症例では神経線維脱落の程度が高度な割にアミロイド沈着量が少なく,血液神経関門の破綻などの他の因子が神経障害に関与している可能性がある.

  • 山下 太郎
    2020 年 57 巻 2 号 p. 110-113
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/15
    ジャーナル フリー

    アミロイドーシスには,ALアミロイドーシス,AAアミロイドーシス,遺伝性トランスサイレチン(ATTR)アミロイドーシス(家族性アミロイドポリニューロパチー,FAP),野生型ATTRアミロイドーシスなどの病型がある.これらの全身性アミロイドーシスの初発症候として,心不全や,腎障害,消化器症候,末梢神経障害などがあるが,自律神経障害で発症する例も少なくなく,全経過を通じて主要徴候となることがある.アミロイドーシスは,疾患修飾療法が確立してきており,早期診断と,早期治療介入が重要である.当施設の熊本大学病院アミロイドーシス診療センターでは,全国からの依頼に対しアミロイドーシスの病型解析サービスを行っている.

  • 関島 良樹
    2020 年 57 巻 2 号 p. 114-118
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/15
    ジャーナル フリー

    アミロイドーシスは,以前は有効な治療が全く存在せず生命予後が不良な難病であったが,近年病態に基づいた疾患修飾療法が次々と開発されている.遺伝性ATTRアミロイドーシスに関しては肝移植の有効性が確立しているが,侵襲性や移植後のアミロイドーシスの進行などの問題があった.その後TTR四量体安定化薬であるタファミジス,核酸医薬であるパチシランの有効性が証明され本邦で認可されている.野生型ATTRアミロイドーシスに対してもタファミジスの有効性が証明され,2019年に適応追加された.ALアミロイドーシスに対しては,異常形質細胞を標的とした新規の化学療法が開発され,近年予後が劇的に改善している.

総説
  • 大野 重雄, 丸山 崇, 吉村 充弘, 梅津 祐一, 浜村 明徳, 佐伯 覚, 上田 陽一
    2020 年 57 巻 2 号 p. 119-129
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/15
    ジャーナル フリー

    オキシトシン(OXT)は,分娩や射乳反射だけではなく,様々な調節(鎮痛,不安,信頼,絆,社会的認知,向社会的行動,骨・骨格筋)に関わることが報告されている.我々は加齢とOXTの関係を明らかにするために,OXT-monomeric red fluorescent protein 1(mRFP1)トランスジェニックラットを用いて下垂体後葉(PP),視索上核(SON),室傍核(PVN)におけるOXT-mRFP1蛍光強度の加齢変化を調べた.その結果,加齢群でPP,SON,PVNでのmRFP1の集積増加と視床下部でのウロコルチン増加を認めた.また増化したウロコルチンはOXTニューロンにほぼ共発現していた.今後,加齢とOXT発現の機序が解明されることにより,高齢者のサルコペニアや孤独/社会的孤立の予防にも役立つ可能性がある.OXTの加齢との関係を含めて文献をもとにこれまでの知見をまとめ概説した.

ミニレビュー
  • 舘野 冬樹, 榊原 隆次, 相羽 陽介, 尾形 剛, 高橋 修, 清水 彩未
    2020 年 57 巻 2 号 p. 130-133
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/15
    ジャーナル フリー

    神経核内封入体病(NIID: neuronal intranuclear inclusion disease)は全身の核内好酸性封入体形成を特徴とする稀な変性疾患である.成人発症症例は認知機能障害を中核症状とし,不随意運動,小脳性運動失調,末梢神経障害,自律神経障害と症状は多岐にわたる.下部尿路機能障害はNIIDの孤発例では約30%,家族性発生例では約60%とよく合併する症状であり,頻尿,尿失禁,尿閉といった排尿症状のほか,排出障害と多彩である.自験例ではウロダイナミクス・スタディにて初回膀胱知覚低下,排尿筋低活動所見があり,再検時は膀胱知覚低下,排尿筋過活動所見を認めた.NIIDは認知機能障害や運動障害による機能的尿失禁の合併も考えられる.患者の病態をよく把握し,下部尿路機能については,詳細な問診による下部尿路機能障害の型の推察,さらに残尿測定を行い,ケアを行うことが肝要である.

原著
  • 鎌田 泰彰, 原 直人, 佐藤 司, 新井田 孝裕, 向野 和雄
    2020 年 57 巻 2 号 p. 134-138
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/15
    ジャーナル フリー

    眼周囲温熱療法が脈絡膜に及ぼす影響を検討した.健常ボランティア20名に,約40℃で加温可能な蒸気アイマスクを10分間装用させ,optical coherence tomography(OCT)にて加温前,加温終了直後,加温後10分の脈絡膜を撮影した.得られた画像は2階調化画像処理し,脈絡膜面積(C),血管領域面積(L)を求めた.同時に瞳孔計測と,眼疲労感をVisual analogue scaleを用いて測定した.脈絡膜は加温前に比べ加温終了直後でC,Lともに増加した(C:p<0.01,L:p<0.05).また,加温後10分も加温前に比べC,Lの増加が継続していた(p<0.05).瞳孔は加温前に比べ加温終了直後,加温後10分は縮瞳していた(p<0.01).眼疲労感は検査前に比べ検査後で減少した(p<0.01).眼周囲温熱療法は体性感覚を介した副交感神経活性が脈絡膜面積を増加させると思われた.

  • 鎌田 泰彰, 原 直人, 佐藤 司, 新井田 孝裕
    2020 年 57 巻 2 号 p. 139-143
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/15
    ジャーナル フリー

    遮光眼鏡の色が自律神経に及ぼす影響について瞳孔径と心拍変動から検討した.対象は青年健常者14名とした.遮光眼鏡にはグリーン,グレー,オレンジの3色を用いた.検査は暗室で行い,被験者には仰臥位で眼前30 cmに固定した高輝度ディスプレイ(iPad,9.7インチ)の白色背景中心の十字を注視させた.遮光眼鏡装用前,装用中,装用後の瞳孔径(赤外線瞳孔計,Newopto)と,心拍変動解析(Reflex名人,クロスウエル)による自律神経活動指標の測定を行った.瞳孔はグリーンの遮光眼鏡で装用前に比べ装用後に縮瞳した.また,3色すべての遮光眼鏡で装用中に比べ装用後に縮瞳した.オレンジの遮光眼鏡で装用前に比べ装用中に散瞳した.心拍変動解析では装用前,装用中,装用後のいずれも有意差がなかった.遮光眼鏡の色は瞳孔径に変化をもたらすが,心拍変動には影響がなかった.

  • 後藤 由佳, 奥田 博之, 中塚 幹也
    2020 年 57 巻 2 号 p. 144-150
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/15
    ジャーナル フリー

    BMI基準でやせ,普通,肥満の3群に分け,45–55歳の中年女性135名の血液検査を群間で比較し,エルゴメーター運動負荷の前・中・後3時点における心拍変動を比較検討した。基本属性では体重,最高血圧の2項目で3群間に有意差を認め,肥満群が最も高くやせ群が最も低い値を示した。心拍変動では,安静時及び運動最大負荷時は有意差を認めず,運動負荷終了後はCVRR,SDNN,LF,HFの4項目で肥満群が他の2群より有意に値が高く,逆にやせ群は有意に低く,特に低い値を示したのはLFであった。血液検査ではWBC,Hb,HDL,F-T4の4項目で3群間に有意な差を認め,WBC,Hbはやせ群が有意に低く,HDLは肥満群が低く,F-T4はやせ群が高かった。BMI18.5未満のやせ群では,肥満群に比べ運動負荷終了後の心拍変動が低く,背景にヘモグロビン値が明らかに低い事が示唆された。

症例報告
  • 佐竹 紅音, 名取 高広, 一瀬 佑太, 新藤 和雅, 瀧山 嘉久
    2020 年 57 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/15
    ジャーナル フリー

    69歳,男性.主訴は低体温,意識障害.2006年より歩行時のふらつきを認め,2008年に多系統萎縮症(MSA-C)と診断した.2018年1月,意識混濁を認め体温が32.2℃であったため,近医に入院し加温のみで復温した.3月にも再び意識混濁・低体温を認めたために当院へ入院した.入院時現症は,失調性言語,四肢の協調運動障害,尿失禁を認めた.検査所見では,CVR-Rは正常,交感神経性皮膚反応は無反応,皮膚血流は基礎値が上肢で高く,電気刺激時の血流減少反応がなく,深吸気では減少反応が観察された.サーモグラフィーでは上肢の皮膚体温が高く体幹部は低かった.本症例では,上肢の皮膚血流量が多く皮膚温も高めであったが,皮膚血流減少反応は少なく,外気温により熱放散しやすい状態となっていたために低体温を繰り返していたと考えられた.本症例はShapiro症候群を合併しており,上肢の皮膚血流量が多く皮膚温も高めであったが,皮膚血流減少反応は少なく,外気温により熱放散しやすい状態となっていたために低体温を繰り返していたと考えられた.

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