自律神経
Online ISSN : 2434-7035
Print ISSN : 0288-9250
症例報告
低体温症を繰り返した多系統萎縮症の一例
佐竹 紅音名取 高広一瀬 佑太新藤 和雅瀧山 嘉久
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2020 年 57 巻 2 号 p. 151-155

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抄録

69歳,男性.主訴は低体温,意識障害.2006年より歩行時のふらつきを認め,2008年に多系統萎縮症(MSA-C)と診断した.2018年1月,意識混濁を認め体温が32.2℃であったため,近医に入院し加温のみで復温した.3月にも再び意識混濁・低体温を認めたために当院へ入院した.入院時現症は,失調性言語,四肢の協調運動障害,尿失禁を認めた.検査所見では,CVR-Rは正常,交感神経性皮膚反応は無反応,皮膚血流は基礎値が上肢で高く,電気刺激時の血流減少反応がなく,深吸気では減少反応が観察された.サーモグラフィーでは上肢の皮膚体温が高く体幹部は低かった.本症例では,上肢の皮膚血流量が多く皮膚温も高めであったが,皮膚血流減少反応は少なく,外気温により熱放散しやすい状態となっていたために低体温を繰り返していたと考えられた.本症例はShapiro症候群を合併しており,上肢の皮膚血流量が多く皮膚温も高めであったが,皮膚血流減少反応は少なく,外気温により熱放散しやすい状態となっていたために低体温を繰り返していたと考えられた.

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© 2020 日本自律神経学会
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