自律神経
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Print ISSN : 0288-9250
総説
味覚性発汗再考
―2.発現機序に対する一元的仮説―
田村 直俊中里 良彦
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2020 年 57 巻 4 号 p. 200-205

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抄録

病的味覚性発汗の原因には耳介側頭症候群(Frey症候群),交感神経切除,糖尿病などがある.耳介側頭症候群は耳下腺の外傷・手術・炎症により,耳介側頭神経の支配領域に味覚性発汗・顔面紅潮を生じる病態で,温熱性発汗には異常を認めない.Glaisterら(1958)は本症候群が耳神経節ブロックで消失することを示し,味覚性発汗が副交感神経性であることを証明した.交感神経切除では温熱性発汗が消失するが,同側に味覚性発汗が出現する.顔面紅潮は伴わない.Guttmann(1931)は顔面の汗腺が交感・副交感神経の二重支配であり,交感神経が失われると副交感神経性発汗が顕在化すると考察した.全ての病的味覚性発汗は味覚発汗反射(第1編参照)の脱抑制で生じている可能性がある.本反射の遠心路は交感神経と副交感神経で,通常は前者が後者を抑制しているが,前者が失われると副交感神経性発汗が顕在化すると考えられる.

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© 2020 日本自律神経学会
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