自律神経
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シンポジウム
パーキンソン病~慢性便秘の観点から
榊原 隆次土井 啓員澤井 摂
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2021 年 58 巻 4 号 p. 273-278

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抄録

慢性便秘症の有病率は高く,国民の約4%にみられ,加齢と共に増加する.その1因として,最近,レヴィー小体病が知られるようになってきた.レヴィー小体病は,パーキンソン病(PD),レヴィー小体型認知症(DLB),自律神経variantの3型がみられ,脳神経外来での比率はそれぞれ47%,47%,6%程度と報告されている.自律神経variantには,純粋自律神経不全症,便秘/レム睡眠行動異常型がある.このうちパーキンソン病は一般人口の1,000人に1人程度とされる.一方,レヴィー小体型認知症は80歳台の15人に1人とも言われ,決して稀な疾患ではない.レヴィー小体病は,運動障害・認知症をきたすと同時に,消化管障害がしばしばみられる.症状として難治性の便秘が多く,消化器科救急として麻痺性イレウスをきたすこともある.このように,慢性便秘症の一因としてレヴィー小体病にも注意すると良いと思われる.

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© 2021 日本自律神経学会
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