2021 年 58 巻 4 号 p. 305-311
近年,デバイスを用いて神経を刺激することで疾患の治療に役立てる「ニューロモデュレーション治療」が注目されている.最近,麻酔下ラットにおける上喉頭神経(SLN)への微弱な電流での電気刺激は,甲状腺からのカルシトニン分泌を促進することが示された.カルシトニンは破骨細胞に作用し骨吸収を抑制するホルモンである.この発見を骨粗鬆症に対する新しいニューロモデュレーション治療へつなげるためには,意識下動物におけるSLN刺激の安全性やカルシトニン分泌への作用,さらには,慢性的刺激が骨粗鬆症モデルラットの骨密度に及ぼす効果を確かめる必要がある.本稿ではこれらに関する我々の研究成果を紹介する.