自律神経
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シンポジウム
疫学的視点からみた環境過敏症の最新知見と今後の展望―国際共通問診票を用いた環境過敏症の国内調査研究を中心に―
北條 祥子水越 厚史黒岩 義之
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2022 年 59 巻 1 号 p. 37-50

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抄録

環境過敏症(環境不耐症)は日常生活の外的環境刺激に対する感覚過敏症状(光過敏,音過敏,臭い過敏,気圧過敏,化学物質過敏,電磁過敏)に加えて,自律神経・内分泌症状,免疫・アレルギー症状,慢性疼痛,慢性疲労,記憶・情動障害などの多彩な全身症状を特徴とする健康障害の総称であり,アレルギー疾患と密接な関係がある.代表例として,シックハウス症候群(SHS),化学物質過敏症(MCS),電磁過敏症(EHS)が挙げられる.近年,先進国を中心に,患者の急増が問題視されており,早急な病態解明や予防対策が求められている.北條は,約30年間,環境過敏評価用世界共通問診票の日本語訳版を作成して,日本の環境過敏症患者の実態調査を実施してきた.本稿では,環境過敏症の最新知見および筆者が実施してきた日本の環境過敏症患者の疫学調査結果の一部を紹介をしながら,環境過敏症の病態解明や発症予防に関する今後の展望について考える.

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© 2022 日本自律神経学会
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