身体症状を呈し登校障害を主訴に受診した学童・生徒28名の身体症状の特徴を調査した.「朝の起床困難」は睡眠障害に加えて身体感覚とそれを調整する中枢機能の障害が,「睡眠障害」は視床下部の概日リズム制御破綻が推察された.「だるさ,易疲労感」は身体的homeostasisの障害に対して視床下部のエネルギー代謝促進系の抑制的制御が機能していない状態が考えられ,内的・外的ストレスに対する調節機能の障害が推察された.「腹痛・吐き気・下痢」などは機能性dyspepsia,過敏性腸症候群などが考えられ,感覚系では視覚・聴覚・嗅覚などに過敏状態を認めた.診察では諸筋の硬化・圧痛を認め,若年性線維筋痛症にみられる18圧痛点が全例で陽性であり登校障害児には視床下部・辺縁系の障害が推定された.成人の線維筋痛症ではFDG-PETにより視床周囲領域に炎症の存在が指摘されている.登校障害児においても同様の病巣の存在が推察され,併せて諸外国の報告をまとめた.