自律神経
Online ISSN : 2434-7035
Print ISSN : 0288-9250
原著
VR視聴時の主観的不快感に関連する自律神経指標の検討
章 斯楠小野 弓絵
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2022 年 59 巻 2 号 p. 246-254

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抄録

近年,ヘッドマウントディスプレイを用いたVirtual Reality(VR)の利用が進むに伴い,視聴に伴う不快症状(VR sickness)の発生事例が多く報告されている.本研究では,VR sicknessを生体信号から客観的に評価する方法の確立を目的として,VR sickness発生時の心臓自律神経活動の変化を検討した.健康な若年成人16名を対象とし,直進・回転・往復運動を含む5分間のジェットコースターVRコンテンツを視聴させた際の主観的不快感と心電図を連続的に計測した.VRコンテンツ視聴中に主観的不快感が増大した時間帯では,安静時と比較して心拍数と交感神経活動が有意に増加し,副交感神経活動が有意に減少した.自律神経活動が主観的不快感の発生と関連し,VR sicknessを客観的に評価する有用な生体指標となりうることが示唆された.

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© 2022 日本自律神経学会
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