2023 年 60 巻 2 号 p. 76-81
進行性核上性麻痺は頻度の高い4リピートタウオパチーで,臨床診断ではαシヌクレイノパチーであるパーキンソン病,レビー小体型認知症,多系統萎縮症との鑑別が問題となることがある.病理学的に胸髄中間質外側核や第2仙髄Onuf核には多系統萎縮症のような強い細胞脱落はないが神経原線維変化やpretangle,グリアの封入体が形成される.副交感神経核であるEdinger-Westphal核,呼吸中枢である延髄被蓋にもタウの病理像が出現する.進行性核上性麻痺の自律神経障害は自律神経核とその高次制御回路の両者のタウオパチーの関与が推測される.αシヌクレイノパチーの併存による臨床病理像の修飾も考慮する必要がある.