自律神経
Online ISSN : 2434-7035
Print ISSN : 0288-9250
第76回日本自律神経学会総会
中枢神経系による排便調節機構
志水 泰武澤村 友哉湯木 夏扶椎名 貴彦
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 61 巻 2 号 p. 142-147

詳細
抄録

私たちは,ラットにおける中枢神経系による大腸運動制御機構の解明に取り組んできた.その結果,大腸における侵害刺激が脊髄を経由して脳に伝えられ,下行性疼痛調節経路の活性化,脊髄(腰仙髄部)の排便中枢におけるモノアミンの放出,骨盤神経の活性化というプロセスを経て,大腸運動が亢進することがわかった.また,下行性神経の起始部として縫線核および視床下部A11領域が重要であることが明らかとなった.これらの神経核から脊髄に下行する神経の活動を薬理遺伝学的に阻害すると,水回避ストレスで誘発される排便が抑制されることも判明した.本稿では,消化管運動の中枢性制御機構について,私たちの知見を中心にまとめる.

著者関連情報
© 2024 日本自律神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top