パーキンソン病は,運動症状に加え,自律神経系の障害を伴う進行性疾患であり,これらの障害は疾患の進行とともに顕著となる.特に起立性低血圧,臥位高血圧,夜間血圧異常といった循環動態異常は,認知症発症や白質病変の進行に密接に関連しており,患者の生活の質や生命予後を著しく損なう可能性がある.これらの異常は,血管性要因や神経変性の進行と相まって,全身および中枢神経系への多大な影響を及ぼすため,早期診断と適切な介入が重要である.本稿では,循環動態異常の病態,診断法,関連因子,臨床的意義について最新の知見をもとに概説し,管理および治療戦略の方向性について言及する.