日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
経口α4インテグリン阻害薬カロテグラストメチル(カログラ®錠120 mg)の薬理学的特徴と臨床試験成績
杉浦 俊彦安藤 綾俊細井 克之神山 哲哉
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 158 巻 2 号 p. 203-210

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抄録

カロテグラストメチル(商品名:カログラ®錠120 mg)は,α4インテグリン阻害薬として味の素製薬株式会社(現EAファーマ株式会社)によって創製された新規低分子化合物である.生体内において,リンパ球などの炎症性細胞の表面に発現しているα4β1インテグリン及びα4β7インテグリンの両方の機能を阻害することにより,抗炎症作用を発揮する.EAファーマ株式会社とキッセイ薬品工業株式会社との共同開発の下,臨床試験において中等症の活動期潰瘍性大腸炎に対するカロテグラストメチルの有効性と安全性が確認され,本邦において2022年3月に承認,同年5月に発売された.日本オリジンの新薬であり,世界で唯一の経口α4インテグリン阻害薬である.カロテグラストメチルは,適正使用を徹底して実践することで,潰瘍性大腸炎の基本治療である5-アミノサリチル酸製剤に効果不十分又は不耐な場合に経口投与可能な新しい作用機序の薬剤として,臨床現場から広く望まれ,治療に大きく貢献できる可能性がある.本稿では,カロテグラストメチルの薬理学的特性と臨床試験成績を中心に紹介する.

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