2026 年 63 巻 1 号 p. 10-15
運動時には運動発現の意思によって大脳皮質から生じる神経活性(セントラルコマンド)が体性神経系を制御するだけでなく自律神経系も制御し,循環系を調節する.運動時循環機能調節における中枢制御の重要性は19世紀末にはすでに指摘されていたにも関わらず,そのメカニズムは現代に至るまで未解明である.本稿では,この課題の解決を目指した,各時代の先端技術(20世紀後半の脳機能計測技術や近年の光遺伝学など)を用いた研究とその成果について論じる.特に,筆者らが最近解析を進めている,歩行運動と循環反応を駆動する皮質下回路メカニズムに関する知見を重点的に議論する.また,このトピックにまつわる今後の課題についても考察する.