2026 年 63 巻 2 号 p. 61-68
自律神経機能は加齢や生活習慣の影響を受けることから健康指標への応用が期待されるが,日常生活空間での信頼性ある測定は十分に検証されていない.本研究では,商業施設という非医療環境における心拍変動を用いた自律神経機能測定の実現可能性を検討した.宮城県富谷市のショッピングモール来訪者263名を対象に,自律神経機能測定装置「きりつ名人」を用いて心拍変動を測定し,CVRR,ccvL/H,ΔCVRR,ΔccvL/H,ccvHFを解析した.背景因子に性別,年齢,BMI,平均血圧,飲酒歴,喫煙歴,既往歴を取得し,多変量線形回帰分析を行った.CVRRは女性で高値を示し,年齢および血圧と有意な負の関連を示した.ΔCVRRとΔccvL/Hは女性で低値を示し,年齢と負の相関を示した.また,ccvHFも年齢と負の関連を認めた.これらの結果から,商業施設における心拍変動を用いた自律神経機能測定の実現可能性が示唆された.