2012 年 65 巻 6 号 p. 355-363
緑膿菌による呼吸器感染症は難治性であることが多く,第一選択薬として使用されているカルバペネム系抗菌薬でも治療が困難となる場合がある。今回,Hollow fiber system(HFS)を用いたin vitro 血中濃度シミュレーションモデルにより,メロペネム(MEPM)1000 mg(0.5時間点滴)1日3回投与(t.i.d.)時,レボフロキサシン(LVFX)500 mg(1時間点滴)単回投与(q.d.)時,及び2薬剤併用時のヒト血漿中濃度推移をHFS内で24時間再現し,MEPM単剤では治療効果が低いと想定される緑膿菌に対して,生菌数を指標にLVFX併用時の殺菌効果について単剤作用時と比較検討した。供試菌株として,MEPMのMIC:2~16μg/mL及びLVFXのMIC:2μg/mL,in vitro チェッカーボード法によるMEPM及びLVFX併用時のFractional inhibitory concentration(FIC)indexが0.625~1を示した臨床分離緑膿菌,計6株を用いた。
MEPM単剤作用時は,いずれの菌株でもシミュレーション開始(106~107 CFU/ mL)後に殺菌効果が認められたが,生菌数は検出限界(100 CFU/mL)以下に減少することなく,その後再増殖が確認された。LVFX単剤作用時は,いずれの菌株でもシミュレーション開始後に速やかな殺菌効果が確認され,生菌数は検出限界以下まで減少したが,24時間後に再増殖が確認された。一方,MEPMとLVFXの2薬剤併用時は,すべての菌株においてMEPMあるいはLVFX単剤作用時を上回る併用殺菌効果が認められ,生菌数は検出限界以下まで減少した。特に,MEPMのMIC:2及び4μg/mLの菌株では,シミュレーション開始24時間後まで再増殖は確認されなかった。本シミュレーションモデルにおいて,MEPMとLVFXを併用することで単剤作用時と比較して高い殺菌効果が認められることが明らかとなった。また,今回の供試菌株は,一定濃度の薬剤を一定時間作用させたin vitroチェッカーボード法では相乗効果ありと判断されなかった菌株(FIC index>0.5)であるが,臨床での薬剤濃度暴露を作用させたin vitroシミュレーションモデルにおいて強い併用殺菌効果が確認されたことから,臨床においてもMEPMとLVFXを併用することで治療効果を高める可能性が示唆された。