放線状菌の菌体増殖量と抗生物質の産生量との間に直接的な関係のないことは, しばしば経験的に知られているが, 反面, 抗黴物質として報告されたものの中には, 菌体内につくられるものもかなり多く, このような場合には, 菌体量の増加は抗生物質の増加を意味することになりうる。このような意味で, 著者等は速やかな菌体増殖能効果を来たす物質を探索しようと考えて, 先づ汎用される植物生長素を取り上げてみた。放線状菌の土壌微生物中に占める位置は大きいから, 植物生長素の放線状菌による利用分解等は, 植物生長素の土壌中における消長といつた点からも興味があるのではなかろうか。このようなことに関する文献は殆んど見当らない。