The Journal of Antibiotics, Series B
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10 巻, 2 号
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  • フェノキシメチルペニシリン結晶中の比色定量法
    井田 計治, 恩賀 勉, 木下 勝司, 川地 荘兵衛
    1957 年 10 巻 2 号 p. 37-39
    発行日: 1957/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    フェノキシメチルペニシリン (ペニシリンV,以下PcVと略記) は,Penicillium chrysogenumを培養するときフェノキシ醋酸 (以下POAAと略記) を添加すれば得られる。POAAはPcVの精製工程中で分離し難く,製法によつてはPcV製品中に混入して来るので,その量を知る必要があるが,まだその定量法は報告されていない。PARKER等1) はPOAAとクロモトロープ酸を濃硫酸中で150℃, 1~2分加熱して呈色させ,定性反応に用いているが,この方法ではPcVも呈色し,方法自体も定量法としては用い難い点がある。著者等はPOOAとクロモトロープ酸を濃硫酸中で反応呈色させ,しかもPcVの影響を受け難い方法で定量をおこなつた。
  • ポーラログラフ法
    井田 計治, 図司 昭治, 川地 荘兵衛
    1957 年 10 巻 2 号 p. 40-42
    発行日: 1957/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    前報1) にフェノキシメチルペニシリン (ペニシリンV,以下PcVと略記) 結晶中のフェノキシ醋酸 (以下POAAと略記) の比色定量法を報告した。著者等は更に培養液中のPOAAを抽出し, ニトロ化したのちポーラログラフをおこなう法で定量した。
  • 1957 年 10 巻 2 号 p. 42-42,48
    発行日: 1957/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 木下 祝郎, 中山 清
    1957 年 10 巻 2 号 p. 43-45
    発行日: 1957/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    放線状菌の菌体増殖量と抗生物質の産生量との間に直接的な関係のないことは, しばしば経験的に知られているが, 反面, 抗黴物質として報告されたものの中には, 菌体内につくられるものもかなり多く, このような場合には, 菌体量の増加は抗生物質の増加を意味することになりうる。このような意味で, 著者等は速やかな菌体増殖能効果を来たす物質を探索しようと考えて, 先づ汎用される植物生長素を取り上げてみた。放線状菌の土壌微生物中に占める位置は大きいから, 植物生長素の放線状菌による利用分解等は, 植物生長素の土壌中における消長といつた点からも興味があるのではなかろうか。このようなことに関する文献は殆んど見当らない。
  • 三浦 幸二, 林 光男
    1957 年 10 巻 2 号 p. 46-48
    発行日: 1957/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    吾々の研究室の君野は, Mycobacterium aviumにおいてstreptomycin (SM) 耐性菌およびIsonicotic acid hydrazide (INAH) 耐性菌を抗結核剤で処理し, 2重耐性菌を得る難易から, INAH, SM, PAS, Tibioneの順で耐性菌が出現し易いと報告し, 臨床上の抗結核剤投与順序は, この点から充分注意されねばならぬといつている。抗結核剤に対する薬剤耐性発現について吾々の研究室の束村, 三浦, 野田はまた, M. tuberculosisにおいて感性株, INAH耐性株, PAS耐性株からのSM 20mcg耐性菌出現率は, 108当り22.1~114であり, 感性株, SM耐性株およびPAS耐性株におけるINAH 1mcg/ml耐性菌出現率は108当り15.0~50.0であり, 感性株, SM耐性株およびINAH耐性株からのPAS 10mcg/ml耐性菌出現率は, 108当り66.1~83.1で, 菌性菌の出現率はいづれの薬剤への変異によつても影響されないとの結論を下した。すなわち, 或る1つの薬剤耐性菌は, 他の薬剤耐性に対し高い変異率をもつことはないと報告した。束村, 三浦は, PAS耐性株における生菌数当りのSM耐性菌出現率を, SMのみのone step seletionで計算した場合と, SMとPASの併用でのone step selectionで計算した場合と比較すると, SMとPASの併用の場合が著るしく少いのをみとめた。臨床的には, 束村, 三浦は, 当大府荘入院患者の排出喀痰について, SM・PAS併用療法では, SM耐性となる場合がPAS耐性となる場合よりも遙かに多く, INAH・PAS併用療法ではINAH耐性が速く出現する傾向をみとめた。
    薬剤併用時の2重耐性菌の出現に関しては, SZYBALSKI & BRYSONおよび三浦, 林の報告があるが, 薬剤併用時における薬剤耐性発現順序の問題に関しては, まだその成績を見ていない。ここにおいて吾々は, 薬剤併用の場合の薬剤耐性発現順序を明らかにし, 薬剤投与順序を検討する目的で実験した。吾々は人型結核菌を用いて検討中であるが, 本論文では, M. aviumについて, 併用薬剤はSMとINAHとした成績を報告する。
  • I臨牀的研究 1. 内服療法
    沼尾 欣一
    1957 年 10 巻 2 号 p. 49-55
    発行日: 1957/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    邦製の新抗生剤 Leucomycin (以下 LM と略す) は, 1953年北里研究所の秦等によつて, 北里研究所の庭及び東京都新宿区百人町の塵溜の土壌中から分離された新放線菌Streptomces kitasatoeusis, HATA, の培養濾液から抽出精製された塩基性の抗生物質である。
    このLMは, 1952年 Lilly 研究所の MCGUIRE 等によつてStreptomyces erythreusから分離されたErythromycin (以下 EM と略す) およびPfizer研究所のTANNER, ENGLISH, LEES, ROUTIEN 等によつて分離された Carbomycin (以下 CaM と略す) 等とほぼ類似の抗菌性スペクトルを有しているが, 秦等は菌株, 溶融点, 紫外線吸収スペクトル, 赤外線スペクトル, 旋光度, PK値および呈色反応等の試験において, これらとの相違点を認め, 従来の報告にない新抗生物質であるとしている。
    遊離塩基およびその誘導体の性状。遊離塩基は白色または微黄色の苦味のある安定な結晶性粉末で, 元素分析値はC 61.3%, H 8.5%, N 2.17% であり, 実験式として C 33-38, H54-66, NO11-13 (C1, Sは含まず) が与えられる。原末は100℃, 2時間の加熱では変化なく, 水溶液中では, pH 6.0 では 100℃ 1時間の加熱で変化はないが, pH 6.0 以下では同じ条件下で完全に破壊される。 水に対する溶解度は極めて低 (1mcg/ml以下) が, Methanol, Ethanol, Butanol, Acetone, Butylacetate, Benzene等には可溶であり, Petroleum, Etherには不溶である。 酒石酸塩で塩基を処理すると, 容易に塩を形成して酒石酸塩が得られる。 これは水に甚だ易溶で, Alcohol, Acetone にも可溶であるが, Ether には難溶で, Benzeneには不溶であり, やや吸湿性であり, 結晶性の粉末である。 LM塩基をPyridine の存在下にAcetic anhydrideと室温で反応させると, Acetyl LMが白色の結晶粉末として得られる。 Acetyl LMは水に不溶で苦味も全くなくなる。 その他, チオセミカルバゾンも得られる。
    抗菌作用。 抗菌性は酸性側よりもアルカリ側で強い。 血清の影響を受け難く, 溶血性はみとめられない。 葡萄球菌, 枯草菌, 溶連菌, 肺炎球菌, ジフテリア菌, 破傷風菌, ガス壊疽菌等のグラム陽性菌, 淋菌等のグラム陰性菌およびスピロヘータに強力に作用し, 百日咳菌, ブルセラ属およびレプトスピラにも抗菌作用を示すが, グラム陰性腸内細菌には抗菌力が弱い。
    力価および毒性。力価はいずれも純品について, 遊離塩基では 1,000mcg/mg, 酒石酸塩 では 730mcg/mg である。Acetyl LM の力価は, Methanol 水中で加水分解させた塩基の力価で表わすと, 600~650mcg/mg である。純品のマウスに対する毒性は,経口投与 (最大耐過量) で1,500mg/kg 以上, 静脈内 (酒石酸塩として投与) でLD50 450mg/kg, 皮下 (酒石酸塩として投与) LD50 850mg/kgで, 毒性の少い抗生物質ということになる。 また, 肺炎球菌, 化膿球菌, ジフテリア菌, ガス壊疽菌,回帰熱スピロヘータ, 恙虫リケッチア, 山羊非細菌性伝染性肺炎ビールス (大型ビールス), 百日咳菌等の動物感染(マウス, モルモット及び受精鶏卵等を使用)に対しての治療効果をみとめている。
    このLM を使用しての臨牀報告例は極めて少く, 現在までに僅かに国分, 詫摩, 阿部, 美甘, 林, 上田等の報告があるに過ぎない。 私は各種LM 製剤を小児急性感染症に使用してその臨牀的効果を検討する一方, 抗菌性, 服用後の血中移行濃度ならびに家兎 マウスを使用しての諸臓器中含有量の消長等を検索し, 孵化鶏卵各種接種法による安定試験ならびに鶏胎仔諸臓器に及ぼす病理組織学的影響についてはEMを使用した場合とを比較検討してみたので,以下それらの結果について報告する。
  • I. 臨床的研究2. 静注療法
    沼尾 欣一
    1957 年 10 巻 2 号 p. 56-62
    発行日: 1957/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    前篇において著者は, 内服用LM (LM塩基の錠剤および懸濁用LM) を使用して, 人体ならびに家兎における血中移行濃度の消長および家兎諸臓器内分布の状態等を検討し, 更にこれら製剤を11種類の小児急性感染症68例に使用した臨床効果について述べた。今回は, 静注用酒石酸LMを使用した各種実験成績について述べる。
    静注用LMは, 酒石酸LMと適当な無害な溶解補助剤の乾燥混合物で, 使用に臨んで1バイヤル200mg入りを生理食塩水または20%葡萄糖液にて10~20ccに溶解し, 前膊橈骨静脈から3~4分を要して徐々に静脈内に注入した。
    静注用LMの臨床成績の報告は現在のところ非常に少なく, 慈大の上田助教授の内科領域における各種感染症10例についての報告 が代表的なもののようであり, 症例はいずれも重症感染症に入る病型であるが, うち7例にかなりの治療効果がみとめられている。最近, 新大桂内科の吉田等は61才男の慢性胆嚢炎の患者に, 静注用LMを1日400mg, 15日間, 総量6.0g使用し, 臨牀症状の好転, 特に胆汁の炎症性所見の好転がみとめられた症例を報告している 。小児科領域での使用症例は更に少く, 殆んどその報告例をみない。
    今回, 新らしく製作された静注用酒石酸LMについて, 小児急性感染症の治療に使用する一方, 人体並びに家兎, マウスを使用しての血中並びに諸臓器中移行状況等について検討してみたので, 以下報告する。
  • 1957 年 10 巻 2 号 p. 63-71
    発行日: 1957/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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