The Journal of Antibiotics, Series B
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臨床的応用を目的とした感性ディスク法の研究
金沢 裕
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1957 年 10 巻 3 号 p. 85-91

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抄録

Sensitivity disk (感性ディスク) を用いる細菌の化学療法剤感受性測定法は, 手技が比較的簡単なので, 数種の薬剤について検する必要の多い今日では, 一般臨床検査法として広くおこなわれるようになつた。現在, わが国で市販されている感性ディスク (Roskilde, 昭和 (旧型), 栄研, Difco) は, 感受性を4段階に区分判定しているが, 定量的に感受性を知る方法については説明がなく, また各感受性の表現に相当する最小発育阻止濃度も明らかにされていない. 化学療法をおこなつた場合の化学療法剤の体内活性濃度は, 薬剤の種類, 投与法, 投与量, または感染の部位によつてもかなりの差異が見られる。したがつて, 個々の症例について適当な化学療法剤を選択し, 合理的な投与量, 投与法を決定するために, または他の方法による測定値と比較する際には, 最小発育阻止濃度を或る程度定量的に知る必要がある。
私はさきに15, 16, 17, 18), ディスクまたはTabletを使用する寒天平板拡散法の感性判定結果に影響を及ぼす諸種の条件, すなわち, 寒天培地の組成, 培地の厚さ, 培地のpH, 培養前放置時間, 放置温度, 培地中薬剤濃度分布, 薬剤の拡散性の差異, 培養中の薬剤の安定性, 培養時間による発育阻止濃度の相違等について検討した。
今回は上記の実験条件に加えて, ディスクの薬剤含有量を実験の上で適当に規定し, 寒天平板拡散法の長所である測定値の連続性を利用して感性値を定量的に知る方法について実験をおこなつたので報告する。なお, 化学療法剤としてはPenicillin (以下PCと略記), Dihydrostreptomycin (SM), Chloramphenicol (CP), Chlortetracycline (CTC), Oxytetracycline (OTC), Tetracycline (TC), Erythromycin (EM), Colistin (CLS), Sulfisoxazole (SIX), Sulfisomidine (SIM) を実験対象とした。

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