The Journal of Antibiotics, Series B
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可溶性トリコマイシンのマウスにおける血中濃度ならびに体内分布について
添田 百枝黒田 収子藤田 鳳一
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1957 年 10 巻 5 号 p. 211-213

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抄録

世界にさきがけた抗カビ, 抗酵母,抗原虫性抗生物質であるトリコマイシン1) は, カンヂィダ症, トリコモナス症および乾燥型の白癬症に内服によつて効を奏する唯一のものとして, 臨牀医家の注目を集めているが, その血中濃度を簡単に測定することができれば, 効力の判定を推測するのに役立つであろう。しかし, 単に血中濃度のみで治療効果を判定することは, 血中濃度が薬剤投与量に比例するから, 使用量が少なければ検出量も少ないので判定が困難である。このような場合,動物実験によつて各臓器内分布を精査するならば, 効力の判定に役立つものと思われる このような意味において, 私共は実験動物としてマウスを用い, トリコマイシンの経口投与および腹腔内注射によつて時間的に犠牲死させ, その血中濃度および体内分布状況を検査した結果,興味ある知見を得たので報告する。
実験に先だつて文献をみると, 1954年に螺良2) は鳥居・川上の重層法にならつてトリコマイシンの微量測定をこころみたが, 陰性であつたことを報告している。1955年に唐崎3) は, カツオエキスの濃度を低下させ, 比濁法による微量検定をおこない,Candida albicans YU-1200を用いてトリコマイシンに対する感度を10倍に高めることを報告したので, 検討する緒となつた。

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