The Journal of Antibiotics, Series B
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10 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 石山 俊次, 平山 久夫, 高村 正衛, 塚原 進
    1957 年 10 巻 5 号 p. 195-203
    発行日: 1957/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    梅沢1) がザルコマイシンの抗腫瘍性について発表してから, その化学性状についても多くの研究がすすめられ, HOOPER2) はいちおう化学構造を決定し, その水加誘導体Dihydrosarkomycin等の活性にも言及した。つづいて原3) は, ザルコマイシンのイソニコチン酸ヒドラジドの酸性誘導体ザルコマイシン-INAH (SI) が濃紅色無定形粉末であるが, 常温で甚だ安定であり, エールリッヒ癌の腹水腫瘍に有効なことを発表した。従来のザルコマイシン (抗菌性物質製剤基準1701) は不安定で, 臨床上のとり扱いに不便であり, 時に血管痛, 悪感, 尭熱, 嘔吐等の副作用を伴なうことがあるので, 不満が少くなかつたが, SIはそれらの点が著るしく改善されたと思う。
  • I. Candida albicansの糖質呼吸とTCA Cycle
    塚原 叡
    1957 年 10 巻 5 号 p. 204-210
    発行日: 1957/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Tricarboxylic acid cycle (TCA cycleと略) は, 高等動植物体細胞において, アセチル基の酸化機作として重要な意義をもち, アセチル基の完全酸化によつてエネルギーを供給し, cycle上の基質から重要な代謝物質を合成することは周知のとおりである。微生物におけるTCA cycleに関する研究も, 高等動植物のcycleが解明されるに従がつて次第に進められて来たが, 今日TCA cycleの存在がほぼ確実とされる微生物は,Micrococcus lysodeiktcus1), 2), 3), Flavobacterium aquatile4), Azotobater agilis5), Propionibacterium pentosacem6), Bacillus cereus7), Pasteurella turalensis8), Pasteurella pestis9), 10), Mycobacterium tuberculosisvar.hominis11), 12), Mycobacterium avium13), 14), Escherichia coli15)~20), Salmonella typhi21), Rhodospirillum rubrum22), Streptomyces coelicolor23), Aspergillus niger24), 25)およびYeast26) 等であるが, KING & CHELDELIN (1952) 27), 28) によれば,Acetobacter suboxydansは, Ethylalcohol, Glycerol, SorbitolおよびDioxyacetone等のAlcohol類およびGlucose等を酸化するが, Citrate, α-Ketoglutarate, Succinate, FumarateおよびAcetate等のTCA cycle上の有機酸を酸化せず, 従がつて本菌にはTCA cycleが存在しないものと見られ, またAcetobacter suboxydansのように, TCA cycleの存在しない菌種もあり, 微生物の呼吸様式は, その種によつて差があり, 甚だ複雑である。微生物におけるTCA cycleに関しては, なお検討すべき余地が多分にあり, たとえTCA cycleが存在するとしても, 本cycleが動植物体細胞のようにTerminal respiratory enzymes systemであるのか, 単に重要な中間代謝物質の合成反応としてあるのか, 完全なcycleではないが幾つかの個々の酵素反応が存するのか, 或いはTCA cycle以外の代謝経路があるのか等, 追究すべき点は極めて多く, 更に高等動植物体細胞との比較 生理学的研究も必須な問題でもある。先に, 余は各種抗生剤の作用機序を解明するため, その一端としてTrichomonas vaginalisの呼吸に関して検索したが (1957) 29), 更にCandida albicansの糖質酸化に関して, 殊にTCA cycleの存在についても追究し, 次の結果を得たので報告する。
  • 1957 年 10 巻 5 号 p. 210-210,217
    発行日: 1957/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 添田 百枝, 黒田 収子, 藤田 鳳一
    1957 年 10 巻 5 号 p. 211-213
    発行日: 1957/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    世界にさきがけた抗カビ, 抗酵母,抗原虫性抗生物質であるトリコマイシン1) は, カンヂィダ症, トリコモナス症および乾燥型の白癬症に内服によつて効を奏する唯一のものとして, 臨牀医家の注目を集めているが, その血中濃度を簡単に測定することができれば, 効力の判定を推測するのに役立つであろう。しかし, 単に血中濃度のみで治療効果を判定することは, 血中濃度が薬剤投与量に比例するから, 使用量が少なければ検出量も少ないので判定が困難である。このような場合,動物実験によつて各臓器内分布を精査するならば, 効力の判定に役立つものと思われる このような意味において, 私共は実験動物としてマウスを用い, トリコマイシンの経口投与および腹腔内注射によつて時間的に犠牲死させ, その血中濃度および体内分布状況を検査した結果,興味ある知見を得たので報告する。
    実験に先だつて文献をみると, 1954年に螺良2) は鳥居・川上の重層法にならつてトリコマイシンの微量測定をこころみたが, 陰性であつたことを報告している。1955年に唐崎3) は, カツオエキスの濃度を低下させ, 比濁法による微量検定をおこない,Candida albicans YU-1200を用いてトリコマイシンに対する感度を10倍に高めることを報告したので, 検討する緒となつた。
  • 添田 百枝, 黒田 収子, 福島 正夫, 市の沢 昭光
    1957 年 10 巻 5 号 p. 214-215
    発行日: 1957/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1955年細谷省吾教授等1) は, 濃厚なトリコマイシン水溶液にリバノール水溶液を加えることによつて, トリコマイシン誘導体として, 水に不溶のrivanol-trichomycin (アクリノール・トリコマイシン) 塩をつくることができた。ついで, 細谷・中沢・添田・緒方・浜村等2) は, リバノール・トリコマイシン塩 (以下, R・TMと略) を用いてTrichomonas vaginalis, Candida albicansの感染防禦および治療実験をおこない, 水に溶けない状態でマウスの静脈内, 腹腔内注射されるにもかかわらず, 感染を防ぐことができ, またCandida albicans M10感染2時間後に治療を開始すれば, 1回注射量50mcg 1~2回投与によつても高率に, または完全に治療することを実験動物の各臓器の培養試験によつて証明している。
    私共はR・TMを用いて, すでに前報で報告したように, 実験動物としてマウスを用い, R・TM 200単位を腹腔内に注射し, その血中濃度ならびに体内分布状況について, 可溶性トリコマイシンとの比較をこころみた結果について報告する。なお, ホモスルファミン・トリコマイシンについては項を改めて報告する。
  • 添田 百枝, 黒田 収子, 福島 正夫, 市の沢 昭光
    1957 年 10 巻 5 号 p. 216-217
    発行日: 1957/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    前報1, 2) において私共は, 可溶性トリコマイシン1) の血中濃度ならびに体内分布について報告した。実験動物はマウスを用い, 経口投与ならびに腹腔内注射による成績についてのべた。 また, トリコマイシンの誘導体で水に不溶のリバノール・トリコマイシン塩2) を用いて腹腔内注射による血中濃度ならびに体内分布を検査して報告した。Marfanyl (Homosulfamine)-trichomycinは, 細谷・中沢・添田・緒方・浜村等4) の実験によつて,Trichomonas vaginalis, Candida albicansの感染防禦および治療実験で良好な結果が得られ, 殊にCandida albicans M10感染2時間後にMarfanyl・trichomycin (以下M・TMと略) 50 mcgを静脈内に注射すれば, 対照無処理群は全部死亡するのにかかわらず, 7匹中7匹治癒し, 観察期間終了後剖検し, 臓器培養をおこないCandidaが培養できなかつたと報告されている。 今回は水に不溶のM・TMをマウスの腹腔内に注射した結果について, その血中濃度ならびに体内分布についてのべる。
  • 1957 年 10 巻 5 号 p. 218-224
    発行日: 1957/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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