The Journal of Antibiotics, Series B
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Candida albicansの呼吸に及ぼすTrichomycinの影響II
Candida albicansの糖質呼吸に及ぼすTrichomycinの影響
塚原 叡
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1957 年 10 巻 6 号 p. 243-250

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抄録

先に, 余は伊藤 (1956) 1) と共に, Trichomycin (以下Tmと略記) の抗生作用をTrichomonas vaginalisについて, 酵素化学的立場から追究し, まず, 本原虫の呼吸に及ぼすTmの影響に関して検討し, T. vaginalisによるGlucose, Fructose, MannoseおよびGalactose等の糖質呼吸は, 発育阻止濃度以下のTm添加によつて非可逆的に阻害されることをみとめ, また, その酸化阻害機転として, 糖類酸化過程の第1段階であるPyruvateとOxaloacetateとの縮合を抑制することを報告した。また, Tmは抗Trichomonas性を有すると共に, 抗Candida性をも発揮する点から, C. albicansを供試菌として, その呼吸に及ぼす影響について検索を試みた。前報には, C. albicansの代謝機構, 殊に他種細菌群の代謝型式との比較生理学的研究も極めて必須の事項と考え, 代謝型の最も基本的な呼吸に関して検索し, C. albicansの糖質呼吸において酸化される糖類として, Glucose, Fructose, Mannose, Galactose, Xylose, MaltoseおよびSucroseが挙げられるが, 本菌による糖質呼吸においても, 高等動植物体細胞または数種細菌類のように, TCA cycleが存在し, このcycleが糖代謝の主経路であることをみとめた。更に, TmのC. albicansによる糖類酸化に及ぼす影響についても検索し, Tmの作用機作について知見を得たので報告する。

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