The Journal of Antibiotics, Series B
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各種抗腫瘍性物質の併用による抗腫瘍性相乗効果について
鎌田 英男若木 重敏工藤 士郎熊部 潔
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1958 年 11 巻 4 号 p. 177-180

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抄録

1953年HACKMAN等がActinomycin Cについて実験して以来, 各方面において抗生物質の抗腫瘍効果の研究が盛んになつたが, 当工場においても秦等のCarzinophilinおよびMitomycin, 相磯等のGancidin A, およびGancidin Wの4種について中間工業試験をおこつている。これら抗腫瘍性抗生物質の分離や化学的性質については, それぞれ発見者によつて発表されているので, 省略する。各種薬剤は色々違つた薬効をもつており, これらを適当に組合わせて用いることによつて併用効果を期待できるかも知れない。癌の種類が違つたり, また同種のものでも, できる場所や形態によつても薬物に対する感受性が変つてくる。悪性腫瘍に対する特効的薬剤の見出されておらない今日, 各種抗腫瘍剤の併用による治療効果の増大は, 大いに期待されるところである。抗腫瘍効果をしらべるのに, 細胞に対する影響として, 腫瘍細胞数の増減および腹水中に含まれる腫瘍細胞の比率をみ, 担癌動物に対する影響として, 主として腹水量の増減による体重の変動および生存日数という4つの点から判定した。
我々は上記4種の薬剤を用い, 腹水型EHRLICH carcinomaに対する抗腫瘍効果を, それぞれの単独効果と併用効果を実験計画法によつて検討した結果を報告する。なお, 使用した4種薬剤の主な性状をTable 1に示す。これらはいづれも当工場研究室において結晶化したものである。

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