さきに余は11), Trichomycin (以下Trmと略) の抗生作用を
C. albicansについて, 酵素化学的立場から追究し, まず, 本菌の糖質酸化に及ぼすTrmの影響に関して検討し, 本菌によるGlucose, Fructose, Mannose, Galactose, Xylose, MaltoseおよびSucrose等の糖質酸化が発育阻止濃度以下のTrm添加によつて阻害されることをみとめ, その酸化阻害機転としては, 第1に, 糖類酸化過程の第1段階であるPyruvateとOxalacetateとの縮合を抑制することにあり, 第2に, Tricarboxylic acid cycle (TCA cycle) の前半の反応過程の遮断することにあり, 更に, XyloseおよびSucroseのように, 適応的酸化を受ける基質に対する酸化阻害作用は, 適応酵素産生を抑制するのにあることを報告した。次に, 前報2)においては, L-およびD-アミノ酸を供試して,
C. albicansのアミノ酸酸化能について検し, 本菌が酸化利用するL-アミノ酸として, Glutamic acid, Alanine, Proline, Aspartic acid, ArginineおよびGlycine, またD-アミノ酸として, AlanineおよびSerineが挙げられることを報告した。D-アミノ酸酸化酵素はFlavin-adenine-dinucleotide (FAD) を補欠分子簇とし, L-アミノ酸酸化酵素はFlavo-proteinで, いずれもFlavin系酵素の代表と見なし得ることは周知のとおりであるが, 更に, これらの酸化酵素系, すなわち, 本菌によるアミノ酸酸化に及ぼすTrmの影響について検索し, Trmの作用機作に関し, 1, 2の知見を得たので報告する。
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