The Journal of Antibiotics, Series B
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抗生物質の研究第19報
Sarkomycinの研究VIIS1およびS2の構造
立岡 末雄三宅 彰和田 正三岩崎 英介
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1958 年 11 巻 6 号 p. 275-276

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抄録

著者らが粗製 Sarkomycinの 精製過程において硫化水素を通じて得られた含硫化合物S1およびS2のRaney nickelによる脱硫成績体は, 合成によつて2-methyl-3-oxocyclopentane cafboxylic acidであることを確認した。S1化合物を亜鉛と酢酸で還元すると, 定量的 にmercaptane化合体が生成し, さらに本品を酸化するとS1化合体が再生する。S1化合物の還元成績体であるmercaptane化合体をアルカリ分解に付すと, 硫化水素を放つて新らしい含硫化合物となる。本品はS2化合物であることを確認した。
以上の事実からS1化合物ならびにS2化合物中の硫黄は, 同一位置に結合しているものと考えられ, S1化合物およびS2化合物にはC-CH3基が存在しないことから, 硫黄は2位に存在するメチル基に結合している。従がつて, S1化合物はdi (2-carboxy-5-oxocyclopentylmethyl) disumde, S2化合物はdi (2-carboxy-5-oxocyclopentylmethyl) sulfideであると推定した。

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