The Journal of Antibiotics, Series B
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11 巻, 6 号
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  • Sarkomycinの研究VIIS1およびS2の構造
    立岡 末雄, 三宅 彰, 和田 正三, 岩崎 英介
    1958 年 11 巻 6 号 p. 275-276
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    著者らが粗製 Sarkomycinの 精製過程において硫化水素を通じて得られた含硫化合物S1およびS2のRaney nickelによる脱硫成績体は, 合成によつて2-methyl-3-oxocyclopentane cafboxylic acidであることを確認した。S1化合物を亜鉛と酢酸で還元すると, 定量的 にmercaptane化合体が生成し, さらに本品を酸化するとS1化合体が再生する。S1化合物の還元成績体であるmercaptane化合体をアルカリ分解に付すと, 硫化水素を放つて新らしい含硫化合物となる。本品はS2化合物であることを確認した。
    以上の事実からS1化合物ならびにS2化合物中の硫黄は, 同一位置に結合しているものと考えられ, S1化合物およびS2化合物にはC-CH3基が存在しないことから, 硫黄は2位に存在するメチル基に結合している。従がつて, S1化合物はdi (2-carboxy-5-oxocyclopentylmethyl) disumde, S2化合物はdi (2-carboxy-5-oxocyclopentylmethyl) sulfideであると推定した。
  • 柏井 和夫, 箕浦 健三, 土岐 卓, 須貝 哲郎, 大谷 象平
    1958 年 11 巻 6 号 p. 277-283
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    先に須貝および大谷1), 2) は大阪学芸大学の信夫隆治氏から分与された放線菌の1菌株が比較的毒性の少い新らしい抗結核性抗生物質を産生することをみとめ, 信夫氏の整理番号229に因んで, 仮に229物質と命名し, この菌株がStreptomyces lavendulae 群に属する新菌種であることを決定して, Streptomyces racemochromogenus SUGAI. HINOBU et OTANI と命名した。 229物質は後に大阪大学薬学部の谷山3) らによつてその構造を検討され, Racemomycin O と命名された。 著者らはこの229株の振盪培地中の Racemomycin O 産生能力を上昇させるために, 従来おこなわれている菌株改良法のうちで紫外線照射法とNitrogen mustard接触法とを採用した。実験計画法に基ずいて, 推計学的に実験成績を処理して, 期待した高力価産生変異株を数株作成しえたが, この菌株はいずれも229B物質, 後に谷山4), 5), 6) らにより Racemomycin B と命名された強い遷延性毒力をもつ Streptothricin 群抗生物質を主として産生し, 229物質またはRacemomycinを産生せず, 初期の目的を達することができなかつた。従がつて, 本報告は229株の Bacillus subtilis P. C. I. 219に対する抗菌力を判定の基準としておこなわれた高力価産生変異株獲得に関する推計学的研究に限定された。
    原株の形態および培養所見は, 近く信夫により報告される筈であるが, 既に須貝の報告した原株の培養特徴は, 次のとおりである。
    (1) チロジンを含む培地で培養当初から深褐色ないし暗褐色の水溶性色素を産生する。
    (2) 増殖性菌糸は黄褐色ないし灰白色である。
    (3) 気菌糸は白色綿毛様豊富で, 胞子形成と共に灰色をおびた小豆色を呈する。
    以上の特徴を失なつた形態的変異株も出現したので, 併わせて報告する。
  • 山作 房之輔
    1958 年 11 巻 6 号 p. 284-286
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Tetracycline系抗生物質, すなわちChlortetracycline (CTC), Oxytetracycline (OTC), Tetracycline (TC) は極めて類似した化学構造をもち, そのTC基は1種のキレート物質で, Fe, Al, Cu, Zn, Mg, Ca等の2価または3価の金属と結合し1)~4), その結果, 種々の菌に対する抗菌力の低下を来たすことが知られている5)~9)。この際, Ethylendiamine tetraacetic acid (EDTA) を予め加えておくと, EDTAが金属イオンと結合してキレート化合物をつくるために, TC系抗生物質の抗菌力低下は著明に減少する。
    最近, 燐酸塩の金属に対する親和性を利用して, TCとメタ燐酸ソーダの複合体または混合剤が使用され, WELCH10-11はcross overして比較した90例の平均血中濃度について, これらの新製品は従来のTC塩酸塩内服時に較べ1.5~2倍高い値を得ている。
    一方, TC系抗生物質を金属塩と共に内服した際の成績についての報告は少く, WAISBREN2) がCTCと水酸化アルミニウム・ゲルを併用した際にCTCの血中濃度が低下することを報告し, HARCOUR13) TもTCを硫酸マグネシウムと併用した際, 同様に血中濃度の低下することを述べているに過ぎない。
    私はTC・メタ燐酸ソーダ混合剤およびTC塩酸塩を金属塩と共に内服した際の血中濃度を測定し, その成績を比較した。
  • Candida albicansの脂肪酸酸化とこれに及ぼすTrichomycinの影響
    塚原 叡
    1958 年 11 巻 6 号 p. 287-293
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    さきに著者1), 2) は, Candida albicansについて, 各種炭水化物ならびにL-およびD-アミノ酸を供試基質として, 代謝型の最も基本的な呼吸に関して検索し, 本菌種の基質特異性と呼吸型式とを明らかにすると共に, 本菌細胞にも, 高等動植物体細胞にと同様に, TCAcycleが存在し, このCycleが糖代謝の主経路と見なされることを報告した。更にm3), 4), 抗糸状菌性抗生物質Trichomycin (以下 Trm) の作用機作を, 酵素化学的立場から究明しようとして, まず, C. albicansによつて酸化される糖質, L-およびD-アミノ酸等を供試基質とした場合の呼吸作用に及ぼすTrmの影響を検した結果, いずれも本菌に対する最小発育阻止濃度以下の低濃度において, 糖質呼吸に対しては可逆的阻害を, L-およびD-アミノ酸酸化に対しては非可逆的な阻害型式を示し, 結局, いずれの基質を供試した場合にもTrmによる阻害作用がみとめられたので, このようなTrmのもつ呼吸阻害作用の機転として, 末端呼吸阻害が考えられた。そこで, この点を追究したところ, TrmはPyruvateとOxalacetateとの縮合を抑制すると共に, TCAcycle前半の反応過程を遮断することがみとめられ, 更に, フラビン系酵素の代表と見なされるD-アミノ酸酸化酵素に対しても阻害的に働くことから, 第3の侵襲点として, フラビン酵素系阻害が考えられた。また, 阻害度の大きなことと, 阻害型式が非可逆的な点から, Trmの該阻害作用はL-およびD-アミノ酸酸化に対して, より特異的であると見なされた。
    他方, C. albicansは脂質に対しどのような代謝型式を示すかに関しては, 既に, TCAcycleを構成する重要なメムバーであり, 二塩基性脂肪酸に属するOxalacetate, Succinate, FumarateおよびMalate等のC4ヂカルボン酸の本菌による酸化は検したが, 更に, Acetic acid以下の数種の飽和直鎖状一塩基性脂肪酸を供試して, 本菌によるこれら脂肪酸の酸化について検索を加え, 併わせて該酸化に及ぼすTrmの影響をも検し, 次の知見を得た。
  • 第33回研究会 1958年9月20日
    1958 年 11 巻 6 号 p. 294-304
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 1958 年 11 巻 6 号 p. 305-311
    発行日: 1958/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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