The Journal of Antibiotics, Series B
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テトラサイクリン・メタ燐酸塩 (ブリサイ-TX) の薬理学的研究
荒谷 春恵大下 浩二十時 一雄金子 邦彦
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1959 年 12 巻 1 号 p. 7-9

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抄録

広い抗菌像をもち, 耐性等の少い抗生物質としてTetracycline系抗生物質は臨床上賞用されている。なかでも, Tetracycline塩酸塩はChlortetracyclineからつくられ, 水によくとけ, さらに応用範囲の広い化学療法剤であるが, 体内で金属イオンと結合して不溶性の金属塩をつくり, したがつて抗菌作用も低下することが報告されている。そこで, このような金属塩1) の生成を阻止する目的で, メタ燐酸ソーダの混合が試みられ, 臨床的にみとむべき効果のあることが述べられている。
また, Tetracyclineとメタ燐酸ソーダの複合体がBristol社研究陣によつてつくられ, KAPLAN2) 等によつてその化学的および抗菌作用ならびに臨床効果が報告され, Tetracycline塩酸塩に較べ吸収が速やかで, 血中への出現が早く, また, 血中濃度は約2倍で, 組織濃度とくに髄液への移行が多く, 他面, 副作用が少くて安全であるといわれている。ところで, 臨床上このようにきわめて優れた抗生物質であるTetracyclineメタ燐酸複合体の薬理作用については, LD50は経口投与の際, 2,500mg/kg (マウス) であること等が報告されているに過ぎない現状である。
我々はこの薬剤を入手する機会を得たので, 1, 2の薬理学的検索をおこない, Tetracycline塩酸塩のそれと比較し, 以下に述べるような成績を得た。

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