The Journal of Antibiotics, Series B
Online ISSN : 2186-5469
Print ISSN : 0447-8991
ISSN-L : 0447-8991
抗生物質のCandida albicans 発育促進作用の問題, 特に検圧法による観察
第1報 Candida albicans の内呼吸ならびにMaltose酸化能に及ぼす抗生物質の影響
塚原 叡斎藤 貞二郎林 健二
著者情報
ジャーナル フリー

1959 年 12 巻 4 号 p. 278-285

詳細
抄録

カンジダ症は抗生物質療法の普及に伴なつて漸次増加する傾向があり, 本症の発生と抗生物質との間に因果関係を想定する者が内外多数あるが, まだ定説がないことは周知のとおりである。カンジダ症発生増加の1要因として, 抗生物質がC.albicansの生長, 増殖に対して直接促進的に作用するとみる報告も, CAMPBELL & SASLAW等 (1949) 1) 以来, 多数あるが, 他方, 否定的な研究報告も少くなく, 検索材料ならびに方法も研究者によつて多種多様である。
著者等は, 微生物細胞の成長および増殖が呼吸と平行関係にある点からみて, 抗生物質のC.albicans発育促進作用の問題を検圧法によつて検することを企てた。Medium中において示す微生物の呼吸は, 細胞成分の生合成には関係がないと考えられる内呼吸と, 生合成に必須な基質呼吸との和として表現される。また, C.albicansの示す内呼吸は, 他の一般細菌細胞に較べて, きわめて大きな値を示すので, 本菌の呼吸の測定に際しては, 内呼吸を看過し得ないと考えられる。また一方, 抗生物質は周知のように, 微生物の酵素作用を阻害するので, たとえ, それがC.albicanに対して抗生作用を示さない場合も, 本菌の呼吸作用に及ぼす影響に関しても一応検討を加える必要がある。これらの諸点からみて, 著者等は, まず予報として, C.albicanの内呼吸と, Maltose酸化能とに及ぼす各種抗生物質の影響に関して検索を試み, 次の結果を得たので報告する。

著者関連情報
© 公益財団法人日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top