The Journal of Antibiotics, Series B
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Streptomycinを生産する新種Streptomyces rameus, n. sp.について
柴田 元雄
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1959 年 12 巻 6 号 p. 398-400

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抄録

1957年福島県猪苗代湖の湖岸の土壌から分離されたNo.43797株は, 竹尾結核研究所との抗結核菌物質のスクリーニングにおいて, Streptomycin (SM) 耐性結核菌に無効, 感性結核菌に有効で, SM群の抗生物質を生産していることが予損ざれた。この菌を培善して有効物質を抽出, 精製した結果, SMと確認され, 本菌がSM生産株の1株であることがわかつた。従来, SM生産株として報告された菌種は,S. griseus1),S. bikiniensis2),S. olivaceus3),S. mashuensis4),A. globisporus streptomicini5) がある。このうち,S. mashuensis以外の菌種は, 培養上の特徴を異にするが形態的にはいずれもstraightまたはtuftの気菌糸を生ずるgroupの菌である。S. mashuensisは形態的に, いわゆるreticuli-groupの菌で, 気菌糸はwhirlを形成する。これに対して, No.43797株は気菌糸がspiralを形成し, 培養上の特徴および炭素源の利用性も異なつた性質を示し, SMを生産する上記の各菌種とは明らかに別の菌種であり, 文献未記載の新種とみとめられるのでStreptomyces rameus, n. sp.と命名した。

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