The Journal of Antibiotics, Series B
Online ISSN : 2186-5469
Print ISSN : 0447-8991
ISSN-L : 0447-8991
ブドウ球菌感染症に対するErythromycin-Chloramphenicol併用療法の基礎実験
矢野 成敏
著者情報
ジャーナル フリー

1959 年 12 巻 6 号 p. 405-408

詳細
抄録

最近, 薬剤耐性のブドウ球菌感染症が多く, 殊に薬剤耐性ブドウ球菌による敗血症は死亡率の高いことで問題となつている1, 2)。当院においても, 最近, ペニシリン (PC)・ストレプトマイシン (SM)・テトラサイクリン (TC)・3重耐性のブドウ球菌敗血症4例を経験した。この4例の菌は, いずれもクロランフェニコール (CP)。エリスロマイシン (EM) に感受性であり, EM・CPの併用療法をうけ, うち3例が治癒または軽快した。
FC・SM・TC耐性ブドウ球菌による敗血症の治療には, EMが最も有効な薬剤の1つにかぞえられるが, EM単独使用では耐性獲得の司能性が大きく, これは人体においても試験管内においても同様である3)。そこで, 耐性獲得阻止のために併用療法が望まれ, 結局残るCPが選ばれることになろう。このEM・CP併用療法はPC・SM・TC耐性ブドウ球菌敗血症に対して現在用いうるよい治療方法の1つである。私はEMとCPの併用効果の有無およびEMの耐性獲得阻止に対するCPの効果の有無について試験管内実験を試みた。なお, 同時にSM・CPの組合わせについても実験し, EM・CPの組合わせと比較した。

著者関連情報
© 公益財団法人日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top