The Journal of Antibiotics, Series B
Online ISSN : 2186-5469
Print ISSN : 0447-8991
ISSN-L : 0447-8991
鼠径表皮菌 Epidermophyton floccosum の産生する抗生物質の研究 第2報
Fraction Cの諸性質について
片桐 謙佐藤 孝三郎
著者情報
ジャーナル フリー

1961 年 14 巻 1 号 p. 15-19

詳細
抄録

1929年FLEMING が Penicillin を発見して以来, 真菌属の産生する抗生物質の研究は急速に発展し, NEWTON1, 2, 3) らは Cephalosporium からCephalosporin 群を分離し, OXFORD4) らはPenicillium griseofulvum からGriseofulvinを分離した。 真菌の産生する抗生物質には, なお興味ある物質の出現の可能性も充分考えられることは, 言をまにないところである。 真菌のうち, 特に病原性真菌の産生する抗生物質に関しては, VONKENNELら5), PECKら6), URIら7, 8, 9) および占部10) によつて検討されているが, 産生抗生物質の諸性状が詳細に研究されている報告が少ない。 しかし, これらの報告によると, 病原性真菌はPenicillinまたはそれに類似する抗生物質を産生していることが記載されていることは興味あることである。
我々もEpidermophyton floccosum について, その産生抗生物質を追求した結果, 共同研究者である西尾が1報2) で述べたように, 本菌が3つの異なる抗生物質を産生していることが明らかとなつた。 すなわち, Fraction AはPenicillinsに属するものであること, Fraction BはPenicillinsに近似の物質であるが, エーテルによるPaper chromatographyおよび抗菌スペクトルなどの結果から, 常通のPenicillinsとは異なる物質である。 Fraction CのSummarizedpapergramは, いわゆるActinomycin型に属し, Penicillinaseによつて全く不活化されない点など, 諸性状が明らかにPenicillinsとは異なつている。本報は, Fraction Cについて, 分離抽出法, および得られた物質の生物学的, 物理化学的諸性状について報告する。

著者関連情報
© 公益財団法人日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top