The Journal of Antibiotics, Series B
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産婦人科領域におけるα-フェノキシエチルペニシリン (シンシリン) の臨床経験について
加納 泉内田 正山尾 登美子
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1961 年 14 巻 1 号 p. 20-21

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抄録

ペニシリンの合成製剤フェノキシエチルペニシリン (シンシリン) は, 1957年にほぼ完成の域に達し, 我国においては本年になつて市販されるようになつた.その製品も, 米国における検討では, 生物学的, 薬理学的, さらに臨床学的にも, 従来のペニシリン製剤より多くの利点をもつことが報告されている.
試験管内における効果は, 肺炎球菌, 連鎖球菌, 淋菌, ペニシリン (PC) 感性葡萄球菌等に有効で, 従来のPCと同じスペクトルであるが, 従来のものより感受性が高く, 耐性菌も少い. しかし, 強いPC耐性を示す菌には, やはり無効のようである.
我々はフェノキシエチルペニシリン (シンシリン) を子宮附属器炎, 子宮内膜炎, 子宮労結合織炎, 子宮周囲炎, 産褥期感染予防, 術後感染症, 腹膜炎および腎孟炎等の産婦人科領域の疾患24例に使用し, その臨床成績および血中, 尿中, 乳汁中濃度を測定し, 併わせてその副作用について観察した.

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