The Journal of Antibiotics, Series B
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カナマイシンの細菌性赤痢に対する臨床応用
斎藤 誠
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1962 年 15 巻 4 号 p. 183-189

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抄録

近年, 細菌性赤痢は集団的に, または冬期にも恒常的に発生し, 風土病的様相を濃くしている。このような傾向に加えて, 昭和30年頃からストレプトマイシン (SM), クロランフェニコール (CP), テトラサイクリン (TC) に対する耐性赤痢の出現1~3)をみるようになり, 遂年増加し, 現在では入院患者の約20%を占めるにいたつている4)。またCP, TC等による化学療法の経過中, その後に分離される赤痢菌の感受性が変化し, しばしばSM, CP, TCの3剤に耐性を獲得することが3, 5)知られるにいたり, 赤痢の化学療法の上で重要な問題を提示するたいたつた。
したがつて, 今日の赤痢の化学療法は, SM, CP, TC耐性, 赤痢の治療, 感性赤痢かち耐性赤痢への変化に対処しうる化学療法の検討が焦点となつており, カナマイシン (KM) の細菌性赤痢への応用も, その一環として広く注目されるにいたつている。このような趨勢下で著者は故長岐博士とともに, 昭和32年 (1957) 以来KMの赤痢に対する治療応用6~7) を, 若干の基礎的検討と併わせて治験を重ねてきたので, その概要を紹介してみたいと思う。

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