The Journal of Antibiotics, Series B
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Mikamycinに関する基礎的ならびに臨床的研究
富沢 磨須美
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1964 年 17 巻 2 号 p. 53-60

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抄録

最近, 耐性菌, ことに耐性ブドウ球菌による感染症が治療上, 疫学上重要な問題になつて来ているが, これに対して, 既知抗生剤との間に交叉耐性のない新らしい化学療法剤の研究がすすめられている。
1956年に到つて, 梅沢等は放線菌の1種であるStreptomyces mitakaensisから新しい抗生剤を分離し1), これにMikamycinという (以下, MKMと略) 名称を与えた2)。MKMは, 化学的に異なるA, Bの2成分からなり, 主としてグラム陽性菌に対して強い抗菌力を示し, 既知抗生物質に耐性になつたブドウ球菌にも交叉耐性を示さないといわれている3, 4, 5)。特に興味のあることは, MKM-A, Bは試験管内で相互に10%以上存在するとき, 著るしい相乗作用を発揮するといわれ5), その臨床効果に対して期待がもたれて来た。
著者は, MKMについて次のような基礎的研究をおこない, とくに重層法による濃度測定法を考案し学的性質, 本剤の薬理を明らかにし, 本剤の臨床的評価を試みた。

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