The Journal of Antibiotics, Series B
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17 巻, 2 号
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  • 富沢 磨須美
    1964 年 17 巻 2 号 p. 53-60
    発行日: 1964/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近, 耐性菌, ことに耐性ブドウ球菌による感染症が治療上, 疫学上重要な問題になつて来ているが, これに対して, 既知抗生剤との間に交叉耐性のない新らしい化学療法剤の研究がすすめられている。
    1956年に到つて, 梅沢等は放線菌の1種であるStreptomyces mitakaensisから新しい抗生剤を分離し1), これにMikamycinという (以下, MKMと略) 名称を与えた2)。MKMは, 化学的に異なるA, Bの2成分からなり, 主としてグラム陽性菌に対して強い抗菌力を示し, 既知抗生物質に耐性になつたブドウ球菌にも交叉耐性を示さないといわれている3, 4, 5)。特に興味のあることは, MKM-A, Bは試験管内で相互に10%以上存在するとき, 著るしい相乗作用を発揮するといわれ5), その臨床効果に対して期待がもたれて来た。
    著者は, MKMについて次のような基礎的研究をおこない, とくに重層法による濃度測定法を考案し学的性質, 本剤の薬理を明らかにし, 本剤の臨床的評価を試みた。
  • 小野沢 陽蔵, 佐藤 征, 熊谷 勝男, 石田 名香雄
    1964 年 17 巻 2 号 p. 61-64
    発行日: 1964/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 抗生物質ないし化学療法剤の投与によるヒトの常在菌叢の変動が, かなり注目されるようになつた。これらの常在菌叢は, 種々の生理的要因でも変動し得るものであるが, 抗菌作用の強力な薬剤の投与によつて常在の感性菌叢が減少あるいは消失し, 内因性または外因性の耐性菌増殖がおこり, これが定着すると, いわゆる菌交代症である1)。この場合, 感受性菌が減少することは当然であるが, 耐性菌が増加する理由は必ずしも明らかではない。支配勢力であつた感受性菌の減少に伴なつて生育環境 (pH, 酸素圧, 酸化還元電位, 利用しうる栄養源) のいずれかの要咽が弱少勢力であつた耐性菌に好ましい条件を与えるにちがいない。
    人体各部位のうちで, 最も菌叢の変動がおこりやすいのは腸管内であり, ヒトの腸管内常在菌 (ミクロフロラ) としては,E. coli, Proteus, Klebsiella, Enterococci, 種々の嫌気性菌等があげられている。腸管感染のさい, 病原性グラム陰性桿菌の発育を阻止するような抗生物質を投与すると, 影響を及ぼされないProteus, Pseudomonas, 真菌等が増殖する可能性は増し, 場合によつて投与薬剤に耐性なブドー球菌, 大腸菌の増殖もあるわけである。
    このようなことは, 尿路感染症においてもみられ,Proteus, Pseudomonasは慢性尿路感染症において, 2次的病原菌としてしばしば証明され, 一度侵されると, その根絶にかなり困難する。たとえば,Proteusを起炎菌とする尿路疾患のうちには, 急性, 慢性膀胱炎, 腎盂腎炎等が知られ, これらに対してPenicillin, Streptomycin, Colistin, Erythomycin等が用いられたが, そのほとんどが無効であつたという2)。また, 看護に用いた器具に起因すると思われるProteus菌による尿路感染症の病院内発生がおこり, 18%の死亡率をみたという報告もある3)。このさい, 抗生物質感受性の同一性から同一菌型と見なされた。さらに, 開放性創傷, 中耳の慢性感染, 床つれのような潰瘍部は, グラム陰性桿菌, 特にProteus, Pseudomonasの2次的感染部位となりやすい。いま,Proteus菌に焦点をしぼって考察すると, 創傷感染に由来した株と, 尿路感染に由来した株とでは, 抗生剤耐性の模様にいくぶんの相違があり, 前者のほうが耐性菌が多いとの報告もある4)。
    我々は臨床材料, すなわち, 尿路感染症の尿と腸管感染症治療後の糞便から検出されたProteus speciesに対し, 抗生剤スペクトルをしらべたところ, Kanamycin以外はほとんど感受性のないことが判明した。これは上記, LATTIMER等の成績2)と軌を一にする。
    私々としては, 今後, このような菌が出現したあとの治療法を考えると共に, このような菌が出現しないような化学療法も模索すべきであると考え,「単独薬剤投与では菌交代症を引きおこすことが少くなく, またこの菌交代症は多くはグラム陰性桿菌によることも衆知の事実である。そこで, この菌交代症を防止するためには出現を予想されるグラム陰性桿菌を選択的に抑制する薬剤を予め投与しておくことを積極的に考えるか, 或いはそれらが生育しないような生活環境をつくつておくべきではないか。」という問題点を提起して実験をすすめることとした。
    前者の考えに従がつた場合, ColistinはPseudomonasに有効であるが,Proteus菌には全く無効とされている。逆に, KanamycinはPseudomonasに無効,Proteusに有効である。しかし, ColistinがSulfonamideと共にProteusに対して相乗効果を示すという試験管内実験成績は, すでにHERMAN5), TURNER6)によつて報告されており, 我々も偶然の機会にこの相乗効果のつよいことを気付いたので, その具体的応用性までを追求し, 上記の問題点に近よりたいと考えた。第1報には, 尿路感染症におけるProteus菌の位置とそれ等に対するColistin, Sulfonamideの併用効果に言及する。
  • 供試菌種あるいは菌株と相互作用との関係
    塚原 叡, 佐藤 昭子, 重野 和子
    1964 年 17 巻 2 号 p. 65-70
    発行日: 1964/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    さきに, 塚原等 (1963) 1) は, Trichomycin, Nystatin, Amphotericin B, GriseofulvinおよびVariotinを供試し, これら薬剤の試験管内併用効果の試験法として, KING等 (1953) 2) およびELEK等 (1954) 3) によつて考案された濾紙片を用いる寒天平板拡散法が, 手技も比較的簡便で, 優れた方法であることを確認した。さらに, NystatinとAmphotericin Bとの組合わせが,Cryptococcus neoformansならびにTrichophyton mentagrophytesに対して, またGriseofulvinとVariotinとの組合わせが,T. mentagrophytesに対して顕著な協同効果のあることを報告した。
    ところで, 抗真菌性抗生物質の併用効果に関する従来の研究報告4~6)を概括すると, 供試薬剤の同一の組合わせでも, 菌種や菌株が異なると, 研究者によつてその成績が協力的であつたり, または相互に無影響であり, 時には拮抗的で, 必ずしも一致せず, 少くとも現段階では, まだ決定的な決論を見出すことは困難である。このような成績不一致の要因として, 実験方法, 供試培地の組成, 併試菌種, 菌株の差異等があげられる。ところで, 抗生物質の作用機構については, 微生物の重要な代謝過程に1種の代謝阻害剤として重大な打撃を与えるというのが一般的な考えである。この観点からすれば, 供試抗生物質は, 感受性のある真菌に対しては菌種または菌株がどうであろうと, 同一の作用機作で働いているものとみなされる。それで, 2薬剤同時併用の場合にも, その組合わせとしての作用のしくみは一定であるとみてよい。
    したがつて, 抗真菌性抗生物質の相互作用に関しては, 供試菌種および菌株数を増加して, 同一実験条件下にさらに検討を加えるならば, かなり統一された見解が得られるものと考えられた。そこで,Candida albicans以下6種148株の真菌を供試し, 上記5種の抗真菌性抗生物質の試験管内相互作用を寒天平板拡散法によつて検し, 次の成績を得たので報告する。
  • 1964年2月22日 名古屋市興和会館4階会議室
    1964 年 17 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 1964/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 1964 年 17 巻 2 号 p. 76-86
    発行日: 1964/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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