The Journal of Antibiotics, Series B
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抗真菌性抗生物質の協力作用 第2報
供試菌種あるいは菌株と相互作用との関係
塚原 叡佐藤 昭子重野 和子
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1964 年 17 巻 2 号 p. 65-70

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抄録

さきに, 塚原等 (1963) 1) は, Trichomycin, Nystatin, Amphotericin B, GriseofulvinおよびVariotinを供試し, これら薬剤の試験管内併用効果の試験法として, KING等 (1953) 2) およびELEK等 (1954) 3) によつて考案された濾紙片を用いる寒天平板拡散法が, 手技も比較的簡便で, 優れた方法であることを確認した。さらに, NystatinとAmphotericin Bとの組合わせが,Cryptococcus neoformansならびにTrichophyton mentagrophytesに対して, またGriseofulvinとVariotinとの組合わせが,T. mentagrophytesに対して顕著な協同効果のあることを報告した。
ところで, 抗真菌性抗生物質の併用効果に関する従来の研究報告4~6)を概括すると, 供試薬剤の同一の組合わせでも, 菌種や菌株が異なると, 研究者によつてその成績が協力的であつたり, または相互に無影響であり, 時には拮抗的で, 必ずしも一致せず, 少くとも現段階では, まだ決定的な決論を見出すことは困難である。このような成績不一致の要因として, 実験方法, 供試培地の組成, 併試菌種, 菌株の差異等があげられる。ところで, 抗生物質の作用機構については, 微生物の重要な代謝過程に1種の代謝阻害剤として重大な打撃を与えるというのが一般的な考えである。この観点からすれば, 供試抗生物質は, 感受性のある真菌に対しては菌種または菌株がどうであろうと, 同一の作用機作で働いているものとみなされる。それで, 2薬剤同時併用の場合にも, その組合わせとしての作用のしくみは一定であるとみてよい。
したがつて, 抗真菌性抗生物質の相互作用に関しては, 供試菌種および菌株数を増加して, 同一実験条件下にさらに検討を加えるならば, かなり統一された見解が得られるものと考えられた。そこで,Candida albicans以下6種148株の真菌を供試し, 上記5種の抗真菌性抗生物質の試験管内相互作用を寒天平板拡散法によつて検し, 次の成績を得たので報告する。

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