1965 年 18 巻 2 号 p. 53-55
ブドウ球菌は赤痢菌, 結核菌とともに抗生剤に耐性を獲得しやすく, テトラサイクリン (TC), ストレプトマイシン (SM), ペニシリン (PC), スルホンアミド (SA) に高度耐性を示す菌が多い。これらの薬剤に代つて奏功していたエリスロマイシン (EM) 等のマクロライド抗生剤 (Mac) に対しても, すでに約15%の耐性株の出現をみている1)。新抗生剤リンコマイシン (LCM) は, ブドウ球菌感染症の治療に新たな期待を抱かせるとともに, 一方では耐性化も懸念される。LCMのブドウ球菌に対する抗菌作用を調査し, LCM耐性とMac耐性との関係について興味ある知見を得たので報告する。