The Journal of Antibiotics, Series B
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Lincomycinに関する薬理学的研究
荒谷 春恵山中 康光檜垣 雄三郎広実 利夫橋本 孝夫中川 辰男
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1965 年 18 巻 2 号 p. 61-63

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抄録

1962年MASON1)らによつて発見されたLincomycinは, 主としてGram陽性菌に作用する新抗生瀕で, その抗菌像はPenicillin GおよびMacrolide系抗生物質 (Erythromycin等) と類似している。加えて, 耐性ブ菌に対して有効であるばかりでなく, 交叉耐性もないと報告されている。ところで, その毒性について, 急性毒性 (LD50) は, マウスなど4種類の動物の経口投与群では4,000mg/kg以上, 腹腔内投与群では1,000mg/kg (マウス) であった。また, イヌおよびサルに300mg/kg経口投与した場合, 臨床的な症状は全くしめさなかつた。さらに, イヌに30~300mg/kgを1ヵ月間連用したさい, 臨床的な症状はみられず, 血中Glucose, 尿素, Creathine, 総蛋白量, Prothrombinに変化はなく, 肝機能 (Bromsulphalein, Transaminasc, SGO, SGP) 能や腎機能にも変化はないと報告されている。しかし, 心臓, 腸管運動などに対する作用については, 報告されていない現状である。
われわれは今回Lincomycin入手の機会を得たので, 摘出臓器 (心臓, 腸管, 血管) および血圧, 呼吸におよばす影響について検討し, 以下述べるような結果を得た。

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