1966 年 19 巻 2 号 p. 135-137
合成Cephalosporin Cは, 現今最も注目されている新抗生物質で, 将来の発展が希望される製剤であろう。現今実用化されているのはCephaiothin (CETと略) と, そのPyridine誘導体であるCephaioridine (CERと略) 2種類の製剤であるが, これらの両者の基礎的ならびに臨床的な内外諸家の報告によると, 試験管内抗菌力はCERのほうがやや強いが, 著明な差ではない。しかし, 動物における感染防禦実験, 人体感染症治療成績では, その差がかなりあり, CETはCERの2倍量を通常必要とするようであり, 人体に投与したばあいの血中濃度も報告者によつて多少の相違があるが, CERのほうがやや高い傾向がある。しかし, CETのほうが高い, またはCERと同じという報告もある。ところが, CETとCERの血中濃度のタイプの相違は, CETのほうが急速に下降するという点にある。またCERは血清等によつてその力価は影響されないが, CETについては血清によつて影響がないというものと, 力価の低下をみとめるものがある。以上の諸点に, 若干の考按を加え, 両製剤の生体内動態の相違をみる意味において以下の実験をおこない, 若干の成績を得たので報告する。