The Journal of Antibiotics, Series B
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19 巻, 2 号
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  • 山内 英士
    1966 年 19 巻 2 号 p. 79-89
    発行日: 1966/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    黄色ブドウ球菌 (以下, 黄色ブ菌と略す) 心内膜炎は, 最近増加の傾向がみられ, しかも化学療法の発達した今日でもその死亡率は60~96%1-4) と高く, 予後不良な疾患と考えられている。その難治性の理由としては, 黄色ブ菌の組織に対する強力かつ迅速な破壊力, 転移膿瘍の易形成, 薬剤耐性ないしその易獲得性などによると考えられ, さらに臨床的にも多様性病像を呈し, しばしば病初に心雑音を欠くことにより早期診断がおくれることなどが問題になつている。しかし, 早期診断と適確な抗生剤の多剤併用がおこなわれるならば, 予後はかなり改善されるものと考えられる。
    著者は, 昭和35年4月から40年4月までの5年間に8例の黄色ブ菌心内膜炎患者を経験したが, うち2例が治癒し, 6例が死亡し, そのうち5例を剖検する機会を得た。そしてこれらに対して臨床的, 病理解剖学的な検討を加えた。そのほか検出された黄色ブ菌の病原性, ファージ型, 薬剤感受性, 試験管内および生体内における抗生剤の静菌的および殺菌的効果などについて検討した。また, 流血中における黄色ブ菌の形態, 分布, 動態についても検討したので, これらの成績について報告する。
  • 中沢 昭三, 横田 芳武, 南 亜夫, 三谷 敬子, 吉岡 修, 金沢 和子, 瀬野 幸子, 下山 幹雄, 斎藤 安正
    1966 年 19 巻 2 号 p. 90-94
    発行日: 1966/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    本論文の要旨は, 昭和40年6月3日国立教育会館において開催された第13回日本化学療法学会総会ならびに昭和40年12月20日大阪府医師会館における第13回日本化学療法学会中日本支部総会“アセチルスピラマイシン・シンポジウム”基礎部門において報告した。
    1965年, 協和醗酵富士工場の研究陣によつて開発されたアセチルスピラマイシンは, スピラマイシンをアセチル化して得られる新らしい誘導体である (図1)。
    Macrolide抗生物質の誘導体としては, すでにErythromycin→Propionylerythromycin lauryl sulfate,Oleandomycin→Triacetyl-oleandomycin, Leucomycin→Acetylleucomycinなどが臨床面で使用されているが, これらの誘導体の主な特徴としては, 血中有効濃度の上昇と持続性の改良に重点が置かれており, 生体内治療効果の増強によつて投与量を従来のSpiramycin baseの半量でもなお有効としたAcetyl-spiramycinの開発とは大きく目的を異にしている。開発研究の初期から協力してきた私どもの研究機関の成績をここに報告する。
  • 高平 汎志, 加藤 博正, 杉山 勲敬, 石井 澄洋, 羽田 友恒, 宇津 慶三, 熊部 潔, 小島 良平
    1966 年 19 巻 2 号 p. 95-100
    発行日: 1966/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    本論文の要旨は, 昭和40年6月, 東京国立教育会館における第13回日本化学療法学会総会に発表した。
    Spiramycin1)~6)は, 1954年フランス, ローンプーラン研究所のS. PINNERT-SINDICO等によつて分離されたStreptomyces ambofaciensが産出する新抗生物質として抽出されたもので, 主としてグラム陽性菌に有効で, Erythromycin, Oleandomycinと同じMacrolide系抗生物質である。
    我々は, 当研究所において従来からSpiramycin誘導体の開発研究を試みて来たが, 特殊な方法で合成したSpiramycin monoacetate I (Acetyl spiramycin) はin vitroおよびin vivoの基礎研究において, Spiramycinより優れた知見が得られたので, ここに報告する。
  • 藤本 安男
    1966 年 19 巻 2 号 p. 101-104
    発行日: 1966/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Acetyl-Spiramycin (以下Ac-SPMと略) は, 従来のSpiramycin (以下SPMと略) にくらべ少量で有効であり, 安定性もよいとの報告がある。著者は, 動物 (ラット) を用いてAc-SPM経口投与時の血中ならびに臓器内濃度について実験した。また, Ac-SPMを実際に人体に投与したばあいの血中濃度, 尿中排泄量, その他の体液内濃度について自験例および5研究機関からデータについて検討した。なお, 本Ac-SPMのデータは, 著者等が1962年に発表したSPMに関する同様の実験成績と比較検討を加えた。
  • 1966 年 19 巻 2 号 p. 104-104,107
    発行日: 1966/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 中川 圭一, 庄司 文久
    1966 年 19 巻 2 号 p. 105-107
    発行日: 1966/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    マクロライド系抗生物質, スピラマイシンの誘導体として開発されたアセチル・スピラマイシンは, 耐酸性をもち血中濃度の持続性が高く, 臓器内濃度もより高いことが動物実験においてみとめられている。今回我々は, アセチルスピラマイシン (以下, Ac-SPMと略) を臨床的に使用し同時に血中濃度, 尿中排泄率, 胆汁, 胸水, 腹水および髄液中への移行を, スピラマィシン (以下SPMと略) と比較検討したので報告する。なお, 血清および体液中の濃度測定は, 溶連菌を使用する重層法によつたが, Ac-SPM測定のスタンダードとしては, スピラマイシン塩基を用いた。
  • 川村 太郎, 高橋 久, 富沢 尊儀, 小林 明博, 広川 浩一, 増田 勉, 小幡 宏子
    1966 年 19 巻 2 号 p. 108-112
    発行日: 1966/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アセチルスピラマイシンの試験管内抗菌価は, スピラマイシンより劣るが, 血中濃度の持続性と臓器内濃度の高さにおいては, それより優れ, その投与量はスピラマイシンの1/2でよいといわれている。われわれは, 昭和40年7. 8, 9の3ヵ月にわたつて, 東大皮膚科および三楽病院皮膚科において化膿性皮膚疾患にアセチルスピラマイシンを投与して, その効果と, その指摘された投与量の可否について検討した。
  • 生亀 芳雄, 工藤 三郎
    1966 年 19 巻 2 号 p. 113-114
    発行日: 1966/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アセチル・スピラマイシンは, マクロライド系抗生物質であるスビラマイシンの誘導体である。
    本剤は, 高い耐酸性をもち, 血中濃度の持続性がよく, 臓器内濃度も高いといわれ, 血中濃度は動物実験においてスピラマイシンが投与後1時間目にピークがみられるのに対して, 本剤では5時間目にピークがある。その理由は, 生体内で本剤がスピラマイシンにくらべて, その分解過程が1段階おくれてみられるためではないかと推察されている。なお, 腎臓内濃度は, ラッテに500mg/kg投与後, スピラマイシンでは最高が71mcg/gであるが, 本剤では102mcg/gと高い値となつている。
    抗菌力は, スピラマイシンとほとんどおなじスペクトラムをもつているが, 試験管内の抗菌力は一般にスピラマイシンより弱いようである。しかし, 生体内においては分解過程の相違によるものと考えられるが, 動物における感染症に対し著明な効果をしめしている。
  • 宮村 定男, 重野 直也, 小林 良彦
    1966 年 19 巻 2 号 p. 115-121
    発行日: 1966/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalosporinは, 最初BROTZU等5) (1945) によつてCephalosporium acremoniumから抽出され, 1955年NEWTON, ABRAHAM等1, 11) はCephalosporin Cの分離に成功, その後ABRAHAM, NEWTON等2) (1961) によつてその化学構造が決定されてから, さらに7-Aminocephalosporanic acidの側鎖であるα-Aminoadipic acidを変えた合成剤が開発されつつあり, 今日CephaloridineおよびCephalothinの2種類が臨床的にも使用し始められた。
    しかし, その構造がPenicillinにきわめて類似するところから, その分解酵素についても, NEWTONおよびABRAHAM11) (1955) により考慮され, 既に報告が散見される。すなわち, FLEMING等7) (1963) は, 腸内細菌群にCephalosporin Cを分解する酵素のあることを報告し, JAGO等8) (1963) もPseudomonas aeruginosaがCephalosporin分解酵素を産生することを報告しているが, 一方, CHANG等6) (1963) はPseudomonasはこの分解酵素を産生しないと述べている。
    私共は, Cephalosporin C, CephaloridineおよびCephalothinに対するStaphylococcus aureusおよび数種グラム陰性桿菌の感受性ならびに, これら菌種のCephalosporin不活作用について検討を加えたので, その成綾を報告する。
  • 金沢 裕, 倉又 利夫, 丸山 勇, 河路 清, 田沢 和内
    1966 年 19 巻 2 号 p. 122-130
    発行日: 1966/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    7-Aminocephalosporanic acidから誘導合成された合成Cepalosporin C製剤として, Cephaloridine (CER)(Glaxo, Eli Lilly), Cephalothin (CET)(Eli Lilliy) に関する基礎的事項として, in vitro抗菌力, 体液中濃度, 不活化酵素に対する態度, in vitro併用効果について検討し, さらに臨床的にも経験を加えることができたので報告する。
  • 清水 喜八郎, 畠山 正己, 陣立 恒夫, 島田 馨, 奥村 有史
    1966 年 19 巻 2 号 p. 131-134
    発行日: 1966/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    7-Amino-cephalosporanic acidを基礎とした新抗生剤, Cephaloridine (CER) について, 基礎的, 臨床的検討をおこなつたので, その成績について報告する。
  • 藤本 安男
    1966 年 19 巻 2 号 p. 135-137
    発行日: 1966/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    合成Cephalosporin Cは, 現今最も注目されている新抗生物質で, 将来の発展が希望される製剤であろう。現今実用化されているのはCephaiothin (CETと略) と, そのPyridine誘導体であるCephaioridine (CERと略) 2種類の製剤であるが, これらの両者の基礎的ならびに臨床的な内外諸家の報告によると, 試験管内抗菌力はCERのほうがやや強いが, 著明な差ではない。しかし, 動物における感染防禦実験, 人体感染症治療成績では, その差がかなりあり, CETはCERの2倍量を通常必要とするようであり, 人体に投与したばあいの血中濃度も報告者によつて多少の相違があるが, CERのほうがやや高い傾向がある。しかし, CETのほうが高い, またはCERと同じという報告もある。ところが, CETとCERの血中濃度のタイプの相違は, CETのほうが急速に下降するという点にある。またCERは血清等によつてその力価は影響されないが, CETについては血清によつて影響がないというものと, 力価の低下をみとめるものがある。以上の諸点に, 若干の考按を加え, 両製剤の生体内動態の相違をみる意味において以下の実験をおこない, 若干の成績を得たので報告する。
  • 小林 民子, 佐藤 キミ子, 中沢 昭三
    1966 年 19 巻 2 号 p. 138-142
    発行日: 1966/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    本論文の要旨は昭和40年9月新潟大和ホールにおける第12回日本化学療法学会東日本支部総会ならびに昭和40年11月20日大阪府医師会館における第13回日本化学療法学会中日本支部総会スペクチノマイシン“シンポジウム”基礎部門にアンケートとして提出した。
    Spectinomycinは1961年米国Upjohn社のMASONら1) が報告した注射用の新らしい広範囲抗生物質で,別名Actinospectacinといわれ,商品名はTrobicinと呼ばれている。僅かに遅れて,Abbott社のOLIVERらが報告したM-141と呼ぶ物質は,後に同一物質であることが判明した。Upjohn社の生産菌は放線菌Streptomyces spectabilis NRRL 2792株であり,Abbott社の菌はStreptomyces flavopersicusと命名された新放線菌のNRRL B 2820株である。その構造式はHOEKSEMAらによつて発表され, 右に示すようなものである。
    Spectinomycinは,C14H24N2O7・6H2O融点65~72℃ の塩基性白色結晶性物質で,その硫酸塩C14H24N2O7・H2SO4・4H2Oは,融点185℃ であり, 水, ピリジンにきわめて易溶, アルコールおよびアセトンに可溶, 多くの有機溶剤に不溶で, 25℃における水溶性は, 塩基1720mg/ml, 硫酸塩217mg/mlである。Upjohn社の報告によれば, 本物質はin vitroでは, 広範囲のグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して抗菌作用をもち, 通常栄養培地における抗菌力は比較的弱いが, 全血あるいは血清添加培地ならびに尿中では活性があり, 種々の試験的動物感染症に対して, 非経口的に本物質を投与したばあい, クロラムフェニコールに匹敵する効果が得られる。また,本物質を非経口的に投与したばあい, 迅速に吸収且つ排泄され, 継続投与においても体組織に蓄積されず, 毒性は著るしく低い特徴をもつと述べている。
    さて, 私どもは, 本物質について細菌学的基礎研究を実施した結果, 2, 3の知見が得られたのでここに報告する。
  • 菅山 順一, 鎌須賀 輝男, 高田 彰一, 高野 俊雄, 斎藤 伍作, 酒井 純雄
    1966 年 19 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 1966/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    著者らはさきに, 竹類の葉から抽出した可溶性多糖体分画が動物移植癌のあるものに制癌効果を現わすことを報告した1, 2) 。 その制癌機構は, なお明らかではないが, 制癌作用発現の様相から, このものは多くの他の制癌物質とは異質のものであろうと推定した。その後, 著者らは, この多糖体の抽出精製法に改良を加えて, 比較的高純度と思われる物質を得る方法を考案したので, その方法をいね科に属する竹類以外の植物についておこなつて, それぞれの可溶性多糖体区分を得た。そして, これらのものはEHRLICH carcinomaおよびSarcoma-180の結節腫瘍に対して, 竹類抽出物と同様な制癌効果を示したので, 報告する。
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