The Journal of Antibiotics, Series B
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黄色ブドウ球菌心内膜炎の治療に関する臨床的ならびに実験的研究
山内 英士
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1966 年 19 巻 2 号 p. 79-89

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抄録

黄色ブドウ球菌 (以下, 黄色ブ菌と略す) 心内膜炎は, 最近増加の傾向がみられ, しかも化学療法の発達した今日でもその死亡率は60~96%1-4) と高く, 予後不良な疾患と考えられている。その難治性の理由としては, 黄色ブ菌の組織に対する強力かつ迅速な破壊力, 転移膿瘍の易形成, 薬剤耐性ないしその易獲得性などによると考えられ, さらに臨床的にも多様性病像を呈し, しばしば病初に心雑音を欠くことにより早期診断がおくれることなどが問題になつている。しかし, 早期診断と適確な抗生剤の多剤併用がおこなわれるならば, 予後はかなり改善されるものと考えられる。
著者は, 昭和35年4月から40年4月までの5年間に8例の黄色ブ菌心内膜炎患者を経験したが, うち2例が治癒し, 6例が死亡し, そのうち5例を剖検する機会を得た。そしてこれらに対して臨床的, 病理解剖学的な検討を加えた。そのほか検出された黄色ブ菌の病原性, ファージ型, 薬剤感受性, 試験管内および生体内における抗生剤の静菌的および殺菌的効果などについて検討した。また, 流血中における黄色ブ菌の形態, 分布, 動態についても検討したので, これらの成績について報告する。

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