1966 年 19 巻 4 号 p. 297-304
ペニシリン, サルファ剤のroll backに始まる抗生剤の焦点は, broad spectrumをもち, しかもlong actingできわめて身体的副現象の少いものに集中され, 今日, 多くの感染症に応用されている。しかし, それらの無策にも等しい乱用から生ずる耐性菌や菌交代等の問題は, 見逃せない事実であり, 種々の面からその対策が講じられている。今回, 協和醗酵から供試を受けたAcetyl-spiramycinは, Spiramycinの新らしい誘導体として開発されたもので, グラム陽性菌, ナイセリア, 耐性菌等に著効を示すといわれ, 我々も約26例の尿路感染症について臨床的応用を試み, 同時に家兎の肝腎に及ぼす組織学的影響について2, 2の検討を加えたので報告する。