The Journal of Antibiotics, Series B
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19 巻, 4 号
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  • 野原 俊一
    1966 年 19 巻 4 号 p. 253-268
    発行日: 1966/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    膣トリコモーナスについては, 1836年DANNE1)の発見, 記載以来, 数多くの基礎的臨床的研究がなされ, 報告がみられる。ことに, 近年の抗生物質の発見進歩は, 膣トリコモーナスの純培養を容易にし, 位相差顕微鏡, 電子顕微鏡, 生化学的検査法等の技術的進歩は, 本原虫の基礎的研究を著るしく進歩させた。しかし, まだ解明されない面も多く残されており, 各方面で研究が続けられている現状である。
    一方, 臨床面では, 膣トリコモーナス症は頻度の高い疾患であり, 近時, 増加の傾向にあるとされており, また, 従来からきわめて再発し易い難治な疾患とされていたが, 近年, 新らしい抗トリコモーナス薬剤が相ついで開発され, 治療が容易となり, これらに関する臨床的研究報告も数多くみられるようになつた。しかし, これら抗トリコモーナス薬剤の臨床研究に当つては, 従来から一定の基準がなく, 各研究者はそれぞれ独自の基準で研究しているので, 比較検討するのが困難であつた。そこで, 本問題を解決するため, 日本産婦人科学会内の臨床膣トリコモーナス研究同好者が参集して協議の結果, トリコモーナス治療薬剤判定基準を作成した2)。
    当教室においても, 積極的に本研究会に参加して協議し, 基準の協議作成に当つた。また, 昭和38年度来, 前述のような, 未解決の膣トリコモーナスの諸問題を共同研究する目的で, 文部省科学研究, 膣トリコモーナス研究班が結成され, 当教室も, 藤井教授が班員としてこれに参加し, 分担研究をおこなつている。
    著者は, 膣トリコモーナス研究の一部として, 最近の新らしい抗トリコモーナス薬剤の臨床効果を, 膣トリコモーナス研究同好会の基準にしたがつて比較検討するとともに, 最近の知見をもとにして, 膣トリコモーナス症の臨床像を再検討し, また最近, 問題となつている膣トリコモーナスの病院内感染の問題についても検討を加え, いささかの知見を得たので, ここに報告する。
  • 第2報 Kanamycin, Penicillin併用に関する研究
    砂田 裕和
    1966 年 19 巻 4 号 p. 269-276
    発行日: 1966/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    感染症に対する抗生物質の併用療法は, Penicillin (PC) とStreptomycin (SM) の出現以来, 広くおこなわれている。最近はSMとPCのほか, PC-VとNovobiocin (NB), Oleamdomycin (OLM) とTetracycline (TC), NBとTC, Chloramphenicol (CP) とTriacetyl-OLM等の合剤が製作使用され, 効果も確認されている1~10)。抗生物質を併用することによつて期待される効果には,(1) 併用による抗菌力の増強と抗菌スペクトルの拡大,(2) 細菌の耐性獲得防止または遷延,(3) 混合感染に対する効果などが考えられ, 事実これらの効果については, 多くの報告1~6, 10~12) 明がらかにしている。近年, 耐性葡菌の増加が問題にされており13~16), 耐性大腸菌の増加も注目されているが15, 17, 18), これらに対する対策として新らしい抗生物質の開発がおこなわれ, また抗生物質の併用療法が研究されている1~10)。Kanamycin (KM) は1957年梅沢博士によつて開発された抗生物質で, ことに葡菌, 大腸菌に対して高い抗菌力のあることが知られており18~20), 私も産婦人科領域で分離したコアグラーゼ陽性葡菌, 大腸菌についての検討でこれを確認することができた。一方, KMとPC間に抗菌協力効果があるといわれている23, 26)。私も既にこれを証明したが, さらに両者の併用について, 産婦人科感染症における基礎的, 臨床的検討をおこなつた。以下その成績を報告する。
  • 産婦人科領域
    青河 寛次, 岩田 好弘, 山路 邦彦
    1966 年 19 巻 4 号 p. 277-287
    発行日: 1966/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1948年BROTZUがSardinia海岸から分離したCephalosporium acremoniumの産生する抗生物質に端を発したCephalosporin研究は, その後, 1955年NEWTON & ABRAHAMがこの中からCephalosporin Cを分離し, さらに1961年その化学構造を決定した結果, 本剤がD-α-Aminoadipic acidとPenicillinの6-APAの代りに7-Aminocephalosporanic acid (7-ACA) をもつことが明らかとなつた。これ以来, Cephalosporin Cの種々な誘導体が合成されてきたが, その中でもEli Lilly社が開発したCephalothin (CET, Keflin) は最も有力な抗生物質であるので, われわれもその臨床的検討をおこなつている。今回は, 産婦人科領域における諸種感染症に本剤を応用し, 薬剤投与方式, 感受性と臨床効果との相関性などを追求したので報告する。
  • 吉岡 一, 板垣 道夫, 芝木 秀臣
    1966 年 19 巻 4 号 p. 288-291
    発行日: 1966/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    種々の半合成ペニシリンのうち, D(-)-α-Aminobenzyl peniciilin (または [D(-)-α-Aminophenylacetoamide] penicillamic acid) は, 下記のような構造式をもち, 側鎖部分にアミノ基をもつことと, グラム陰性桿菌にも抗菌作用が及ぶ点で特異なペニシリンである。経口投与でも破壊されずによく吸収されるので, 使用が容易であり, 小児疾患でも応用範囲は広いと考えられるが, 味覚と臭気の点から小児に服用させることが困難で, 適当な剤形の製作が希望されていた1, 9)。このたび下記の処方のような小児用製剤ができ, 乳幼児への経口投与をおこなう経験をえたので, 概略を報告したい。
    アミノベンジルペニシリン 100mg (力価)
    塩化ナトリウム 4mg
    安息香酸ナトリウム 3mg
    シクラミン酸ナトリウム 17.5mg
    サッカリン 3.5mg
    食品添加物黄色色素5号 0.6mg
    無水硅酸 5mg
    香料 微量
    精製白糖を加えて 1.0g
  • 塩田 憲三, 三木 文雄, 東 朋嗣, 岩崎 峭, 赤尾 満, 尾崎 達郎, 杉山 浩士
    1966 年 19 巻 4 号 p. 292-296
    発行日: 1966/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Macrolide系抗生物質の1つであるSpiramycin (以下SPMと略) の新らしい誘導体Acetylspiramycin (以下AC-SPMと略) について, 基礎的検討をおこなうとともに, 諸種の内科的感染症に使用したので, その成績を報告する。
  • 重松 俊, 大川内 利彦, 野田 進士
    1966 年 19 巻 4 号 p. 297-304
    発行日: 1966/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ペニシリン, サルファ剤のroll backに始まる抗生剤の焦点は, broad spectrumをもち, しかもlong actingできわめて身体的副現象の少いものに集中され, 今日, 多くの感染症に応用されている。しかし, それらの無策にも等しい乱用から生ずる耐性菌や菌交代等の問題は, 見逃せない事実であり, 種々の面からその対策が講じられている。今回, 協和醗酵から供試を受けたAcetyl-spiramycinは, Spiramycinの新らしい誘導体として開発されたもので, グラム陽性菌, ナイセリア, 耐性菌等に著効を示すといわれ, 我々も約26例の尿路感染症について臨床的応用を試み, 同時に家兎の肝腎に及ぼす組織学的影響について2, 2の検討を加えたので報告する。
  • 松下 光延, 湯浅 充雄, 今村 元彦, 身原 正一
    1966 年 19 巻 4 号 p. 305-308
    発行日: 1966/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1954年にフランスで発見されたSiramycin (以下, SPMと略) は, Macrolide系抗生物質の1つとして臨床治療上頻繁に使用されているが, 同じMacrolide系のOleandomycinがTriacetyl oleandomycinとして今日基礎的・臨床的な面でOleandomycinよりもすぐれた効果を示しているように, SPMもそのAcetyl体であるAcetyl spiramycin (AC-SPM) が協和醗酵研究所で開発され, 第13回日本化学療法学会でそのすぐれた性質が報告された。
    このようないわゆるMasking compoundが体内でどのように代謝されるかを観察することは, きわめて重要かつ興味深いものであり, われわれもその点を観察するとともに, 以下の基礎的・臨床的研究をおこなつた。
  • 塩田 憲三, 三木 文雄, 東 朋嗣, 岩崎 峭, 赤尾 満, 尾崎 達郎, 杉山 浩士
    1966 年 19 巻 4 号 p. 309-311
    発行日: 1966/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    6-Aminopenicillanic acidから新らしく合成されたMethyldichlorophenylisoxazolyl penlcuhn (Dicloxacilin, Staphcillin A)(以下MDI-PCと略) について, 基礎的検討をおこなうとともに, 諸種内科的感染症に使用したので, その成績を報告する。
  • 産婦人科領域
    青河 寛次, 岩田 好弘, 山路 邦彦
    1966 年 19 巻 4 号 p. 312-314
    発行日: 1966/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penicillin (PC) の化学構造が明らかにされて以来, 6-Aminopenicillanic acidを母核として, 多数のPC誘導体が合成され, 耐性ブドウ球菌感染にすぐれた効果をおさめている。Isoxazolyl系PCに属し, 酸およびペニシリナーゼに安定であるとされる3(2, 6-Dichlorphenyl)-5-methyl-4-isoxazolyl-penicillin: Dicloxacillin (MDI-PC)(Staphcillin A)は, このうち新らしく注目すべき抗生物質と考えられるので, 以下2, 3の検討をおこなつた。
  • 1966 年 19 巻 4 号 p. 315-324
    発行日: 1966/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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