The Journal of Antibiotics, Series B
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リンコマイシンに関する研究
腹腔内投与を中心として
石井 良治石引 久弥大井 博之恒川 陽中村 泰夫山口 和邦
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1967 年 20 巻 5 号 p. 351-356

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抄録

人体と細菌との宿主寄生体関係の間に, 化学療法剤という人為的要素が介入してからすでに半世紀を過ぎ, 数多くの化学療法剤が発表され, 広範囲に使用されて感染症治療に役立つているが, 一面, そのために感染症の病態に変貌をもたらし, とりわけて細菌側の変貌, すなわち耐性菌の出現は, 感染症治療に困難性を加え, その対策のために各種の新らしい薬剤の探求, 既知抗生剤の改良がさかんにおこなわれている。
リンコマイシン (LCM) は, 1962年に発表された比較的新らしい薬剤で, 主としてグラム陽性菌に作用し, その抗菌スペクトラムは, マクロライド系の抗生剤に類似している。
われわれは, すでにLCMについて基礎的. 臨床的検討をおこない発表しているが1), 抗菌力はほぼエリスロマイシン (EM) と同等で, ペニシリンG (PC-G) 耐性ブ菌にも有効であり, また常用抗生剤との間に交叉耐性の存在はみとめられていない。血中濃度は長時間持続が特徴とされるが, 経口投与ではピーク出現時間が遅い。特記すべき副作用もなく, 各種の投与法が可能な比較的使用しやすい薬剤である。
今回, 新らたに家兎を用いてLCMの腹腔内投与, ならびに実験的感染症に対する効果について検討を加えた。

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© 公益財団法人日本感染症医薬品協会
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