The Journal of Antibiotics, Series B
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ペニシリンの力價測定に關する研究 第1報
カップ法の測定誤差について, その1
福田 秀雄岡本 喜久子森 敏子
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1953 年 6 巻 2 号 p. 73-77

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抄録

Penicillinの力価は, 通常Cup法によつて測定されている。この方法は, Staphylococus aureus 209Pを試験菌とする1種のBioassayで, その測定誤差はかなり大きいと考えられる。Cup法の測定誤差については, 既に梅沢等の報告があるが, 筆者等はその誤差の要因を更に検討し, また日々の測定技術を統計的にcontrolすることによつてCup法の測定精度を高めようと努めた。
一方, Cup法はその測定所要時間が長いため, Cup法自体の測定精度をいくら高めても, 最も必要な時期に必要な情報知識を得ることができない。従がつて試料の相違によつてそれぞれに適した方法, たとえば培養液に対しては旋光計による方法, 精製途中の試料に対してはヨード法等のように, 測定所要時間が短く, 精度の高い力価測定方法を採用し, これらの方法による測定値と同じ試料に対するCup法での測定値の関係を推計学的に検討することによつて, Cup法を基準とした場合のこれらの測定計算式を確立した (この場合にも当然Cup法の精度の高いことが要求される) 。こうすることによつてcontrolされた測定技術による実測値を基礎として種々の培養, 抽出, 精製実験の結果を批判することもできよう。

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