1953 年 6 巻 3 号 p. 121-124
肺結核のストレプトマイシン治療に際して, 他の合成化学療法剤の併用によつて耐性出現を防止または遅延させる企ては, 既にストレプトマイシン発見当時から研究され, KARLSON等はプロミンとの併用例を, RIGGINS等はプロミゾールとの併用経験を報告している。しかし, これらの薬剤が結核化学療法剤としての価値を失い, 新らしくPASが登場すると共に, PAS併用によるストレプトマイシン耐性防止実験がおこなわれ始めたのであるが, その後Fitzsimons Army Hospitalの研究陣の努力によつて, 多くの進歩がとげられ, 昨年3月のTEMPEL等の報告のストレプトマイシン間歇・PAS併用療法の完成に到つたことは周知のとおりである。
私共は, 肺結核の化学療法におけるストレプトマイシン間歇・PAS併用法の重要性を考え, その追試実験をおこなつて, その成績の一部を本年4月の日本結核病学会で発表したが, 今回はその後の成績を併わせて述べ, 続いてペニシリン耐性防止の目的でおこなつたサルファ剤併用に関する実験成績をも報告する。