The Journal of Antibiotics, Series B
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6 巻, 3 号
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  • 河盛 勇造, 高橋 久雄, 堀本 清治郎, 螺良 英郎, 奥村 寛三
    1953 年 6 巻 3 号 p. 121-124
    発行日: 1953/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    肺結核のストレプトマイシン治療に際して, 他の合成化学療法剤の併用によつて耐性出現を防止または遅延させる企ては, 既にストレプトマイシン発見当時から研究され, KARLSON等はプロミンとの併用例を, RIGGINS等はプロミゾールとの併用経験を報告している。しかし, これらの薬剤が結核化学療法剤としての価値を失い, 新らしくPASが登場すると共に, PAS併用によるストレプトマイシン耐性防止実験がおこなわれ始めたのであるが, その後Fitzsimons Army Hospitalの研究陣の努力によつて, 多くの進歩がとげられ, 昨年3月のTEMPEL等の報告のストレプトマイシン間歇・PAS併用療法の完成に到つたことは周知のとおりである。
    私共は, 肺結核の化学療法におけるストレプトマイシン間歇・PAS併用法の重要性を考え, その追試実験をおこなつて, その成績の一部を本年4月の日本結核病学会で発表したが, 今回はその後の成績を併わせて述べ, 続いてペニシリン耐性防止の目的でおこなつたサルファ剤併用に関する実験成績をも報告する。
  • ペニシリン・サルファ剤混合注射時の血中ペニシリン及びサルファ剤濃度
    石山 脩二, 馬場 弘二郎
    1953 年 6 巻 3 号 p. 125-127
    発行日: 1953/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    我々は第1報において, ペニシリンとサルファ剤が共存する血液の血清中ペニシリン濃度を, パラアミノ安息香酸添加培地に重層することによつてサルファ剤の抗歯力を阻止して測定できることを報告し, 且つサルファ・ペニシリン錠 (明乳) 内服時の血中ペニシリン及びサルファ剤濃度 (津田法によつて測定) を測定し, 両者とも単独内服時の場合と血中濃度には差異を見出し得なかつたことを報告した。
    本邦においては, 東北大学の本多等, 慈恵大学の河野等, 長崎大学の木戸等によつて, ペニシリン・サルファ剤の混合注射がペニシリンの血中濃度のピークを著明に上昇させ, 且つ持続時間を著明に遷延させることが発表されている。
    我々は水溶性ペニシリンをサルファ剤注射液中に溶解して筋内注射し, ペニシリン及びサルファ剤濃度を定量し, 主としてペニシリン血中濃度の消長を追求した。
  • 寒天平板法に於ける拡散理論式
    宮村 定男, 小柳 孝巳
    1953 年 6 巻 3 号 p. 128-131
    発行日: 1953/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    重層法においては既に増山により1次元拡散式が理論的に導かれているが, 寒天平板法においては, それが抗生物質の基準検定法として採り上げられているに拘らず, 未だにその理論的検討を欠いている。それは, このような2次元拡散, 殊に円筒法の場合でば, その境の条件が複雑なためと考えられる。しかし, このような理論式は寒天平板法で抗生物質の研究を進めるためには必須のものと思い, 私共は次の研究をおこなつたので, 茲に報告する。
  • ヨード法とCup法との比較
    福田 秀雄, 市橋 淑子, 石田 光枝
    1953 年 6 巻 3 号 p. 132-136
    発行日: 1953/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    筆者等は先に第1報, 第2報において, Cup法によるペニシリンの力価測定に際して生ずる測定誤差及びその技術管理のための図表の作成に関して報告し, 測定者がよく注意して操作すれば, かなりの精度で力価を測定し得ることについて述べた。しかし, このCup法は, 精度を高めるには操作が繁雑であり, しかも結果の判定に長時間を要するという不便がある。従がつて, 試料がかなり純粋に近ければ,(たとえばSecond rich water (II R. W.と略す), Final rich water (F. R. W.と略す) 等), Cup法よりもヨード法のほうが有利である。
    ヨード法に関しては既にMUNDELL, HISCOX, ALICINO等の報告があり, ペニシリン基準にも, この方法が採用されている。ところが, 前記のHISCOX, ALICINO等の報告におけるヨード法とCup法との比較は, 甚だ不正確であり, これを以てそのまゝ両方法の近似性, 或いは相異性を推論することは不可能である。またMUNDELLは, やゝ統計的に両方法を比較しているが, 単に結晶ペニシリンGに就いてしか述べていない。そこで我々は実用的見地から主としてII R. W. 及びF. R. W. について統計的処理に基ずいて両方法の比較をおこなつた。また, 或る種の目的で, 油性プロカインペニシリン (P. P. O.と略す) についても参考的に比較をおこなつた。
  • 旋光計による力価測定について
    福田 秀雄, 川中 正次郎, 岡本 喜久子
    1953 年 6 巻 3 号 p. 137-140
    発行日: 1953/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    第1報及び第2報にはCup法の誤差について, 第3報にはヨード法とCup法との比較結果について報告したが, 本報には旋光計によるベニシリンの力価測定に関して報告する。
    旋光計によるペニシリンの力価測定に関して, 既に山崎等は次式が成立することを報告している。
    但し, Pペニシリンの力価, qペニシリン溶液を酷酸ブチル, 燐酸緩衝液に順次転溶した液の元のペニシリン液に対する濃縮比。 (同氏の場合はq=10) α: 旋光度, k: 恒数
    しかし, 上式はPとαに関する1次式で, しかもこの直線は原点Oを通ることを示しているが, はたして2変数Pとαとの間の回帰直線が1次式で表わされ, しかもそれが原点を通るかどうか, またPはαのみの函数で表わし得るか, それとも他の変数もPに影響を与えるものかどうか, 或いはまた試料の純度等によつてこの関係式は変化するかどうか, 等々の問題を検討するために種々の実験をおこない, その結果を推計学的に解析した。但し, 以下に述べる種々の実験結果はすべて現象論であつて, 決して本質論的な結論でないことを前以て断わつて置く。
  • No.212株の産生する2種類の抗菌性物質について
    加藤 久彌
    1953 年 6 巻 3 号 p. 141-149
    発行日: 1953/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    第2報においては, No.212株の生菌抗菌像と培養濾液並びに最終産物の抗菌スペクトルの食い違いを検討した結果, ストレプトスライシしン第2型 (黒屋)(以下ST2と略す) に属する物質 (A物質と仮称する) と, 従来知られていない新物質と思われるB物質が培養液に産生されることを確めたことを報告した。
    A物質については, 既に第1報にその性状の一部を記載したが, その後の研究によつて, 本物質はグラム陽性, 陰性両菌, 抗酸性菌, かび, 酵母類等に広範囲に強い抗菌作用を示すが, その精製法, マウスに対する遅延性の毒性等の各種の性状が梅沢の提唱するストレプトスライシン群物質, 即ち黒屋等のST2と一致することを確めた。
    一方, 本株の第1次スクリーニング並びにその培養濾液及び最終産物の抗菌スペクトルを, 放線菌抗菌性物質の分類についての黒屋等の広範な研究の結果にあてはめて見ると, 本株は同氏等のST2を産生する菌株と考えられたが, 更に生菌抗菌像を詳細に追及したところ, 本株を寒天平板上に培養した時間の推移に伴なつて, その抗菌像が変化することが判明した。この関係は液体培養においても同様に存在し, 前記のST2に属する物質 (A) に対蹠的な抗菌性をもつ物質 (B) が得られた。本報告においては, この両物質の培養条件, 精製法, 抗菌スペクトル, 化学的性状, 毒性等について記載する。
  • イオン交換法における中性塩類溶液による溶離
    奥田 朝晴, 梅沢 純夫
    1953 年 6 巻 3 号 p. 150-152
    発行日: 1953/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ストレプトマイシンの抽出或いは精製過程に当つて, 陽イオン交換樹脂を使用することは周知の事柄であるが, 樹脂からストレプトマイシンを溶離させる際, カルボン酸系樹脂の場合には, 溶離剤として稀鉱酸が使用されている。最近, 米原等は'ダイヤイオンK' (スルホン酸系樹脂) を使用した際, 溶離剤としてカリ塩類溶液の使用が適切なことを報じている。また, Distiller Co. の英国特許によれば, Al-Silicate樹脂を使用した際, 1~8%の食塩溶液を溶離剤として使用すると, ストレプトマイシンを他の不純物 (ヒスタミン, ヒスチヂン等) と分離しうるとある。カルボン酸系樹脂については, Merck & Rohm Haas社の米国特許中に, 塩化カルシューム溶液をも用いうるとあるほか, 余り例を聞かない。
    我々は, カルボン酸系樹脂の溶離に当つて, 中性塩溶液 (主として食塩溶液) が使用しうるかどうか, また使用可能ならば, 食塩溶液による溶離によつて, 培養液或いは粗製ストレプトマイシン中の毒性物質の除去が可能かどうかを検するため, 以下の実験を施行した。その結果, 中性塩溶液を使用することによつて80%以上のストレプトマイシンの回収率を挙げ得ることを知りえたが, 毒性物質の除去という点に関しては, 初期の目的を達することができなかつた。実験結果を次に報告する。
  • 酵素化学的研究-Penicillium chrysogenum Q 176のカタラーゼ作用に就いて
    安田 春太郎, 坂本 有典, 榎本 秀夫
    1953 年 6 巻 3 号 p. 153-154
    発行日: 1953/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    カタラーゼの意味は, SCHOENREINによれば, カタラーゼが細胞呼吸の現象と密接な関連をもつことを示し, 集積するH2O2 (これ自体toxicである) を分解してH2O, O2とする嫌気性菌にはなく, 酸素の供給 (通気) とは密接な関係あるものと考えられる。酵母についてのカタラーゼの至適pHは上面酵母は6.2~6.4, 下面酵母は6.5~6.8, 至適温度は前者は20~24℃, 後者は15℃で, 一般の酵素反応と同様に, 酵素及び基質濃度, 温度, 溶液のpH, 毒物の存在等に影響されるようである。
    著者等は前報のアミラーゼの研究に引続き, ペニシリンの振盪培養に於けるP. chrysogenum Q 176のカタラーゼ作用及び振盪培養中の消長, 酵素化学的性質について試験したので, 報告する。
  • 関西支部第20回研究会及び第21回臨床部会 (昭和27年6月21日)
    1953 年 6 巻 3 号 p. 155-167
    発行日: 1953/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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