The Journal of Antibiotics, Series B
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イオン交換樹脂クロマトグラフィーによる放線菌抗生物質H-277A及びB-Cの分離について
佐分利 保雄
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1953 年 6 巻 8 号 p. 402-404

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抄録

抗生物質を産生する微生物の中には, 1つの菌株が2種類以上の抗生物質をつくる場合がしばしば見られる。たとえば, Penicillium chrysogenumがPenicillin F, G, X, Kの4種類を, Streptomyces fradiaeがNeomycin A, B, Cの3種を, Bacillus brevisがGramicidinとTyrocidinの2種を生産する等はよく知られた事実である。
細谷教授等が土から分離した放線菌H-277株の生産するストレプトスライシン様物質はモルモットを用いた実験結核症に対して著るしく有効であり, そのライネツケ塩の分別結晶法によつて, 毒性の比較的少い部分と, 毒性のやや強い部分とに分けることができ, また濾紙上電気泳動法, ペーパークロマトグラフイーによつて, H-277粗物質のなかには少くとも2種類以上の抗生物質が含有されていることが分つた。また, n-butanol-5% p-toluene sulfonic acid monohy drate-水の系におけるCountercurrent distributionによつて, 3つの抗生物質の存在を認めた。これらの実験, 特にライネツケ塩の分別結晶によつて, この混合物の中には比較的毒性の弱い部分が存在することが分つたが, このものを収量よく, また純粋に単離することができなかつた。これを純粋に単離してその生物学的性状を明らかにし, また共同研究者と共にその化学構造を研究する目的で以下の実験をおこない, 毒性の比較的弱い物質を単離し, その生物学的性状を調べたので, その成績を述べる。

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