1955 年 8 巻 6 号 p. 215-219
我々は諸種の抗結核剤の力価を検討するに当つて, 鳥型菌の1株と考えられるMycobacterium No.607 (No.607と略) を使用する場合が多い。しかし, 果してNo.607を人型菌の代用とすることができるであろうか。すなわち, No.607及び人型菌の抗結核剤に対する感受性の間に平行関係があるであろうか。これは今後, 新抗結核剤の発見, その力価検定に当つて非常に重要な問題であると考える。これについては, 既に金沢大岡本 (1) 等が一部実験をおこない, なお検討の要があることを報告しているが, 私は更にこの問題を追及しようとして, 次の実験をおこなつた。菌株としては, No.607及び人型菌2株を選び, 4種の培地について抗結核性を有する抗生物質及び合成物質, 計12種を用いて比較検討した。