The Journal of Antibiotics, Series B
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8 巻, 6 号
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  • 早坂 聰孝
    1955 年 8 巻 6 号 p. 215-219
    発行日: 1955/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    我々は諸種の抗結核剤の力価を検討するに当つて, 鳥型菌の1株と考えられるMycobacterium No.607 (No.607と略) を使用する場合が多い。しかし, 果してNo.607を人型菌の代用とすることができるであろうか。すなわち, No.607及び人型菌の抗結核剤に対する感受性の間に平行関係があるであろうか。これは今後, 新抗結核剤の発見, その力価検定に当つて非常に重要な問題であると考える。これについては, 既に金沢大岡本 (1) 等が一部実験をおこない, なお検討の要があることを報告しているが, 私は更にこの問題を追及しようとして, 次の実験をおこなつた。菌株としては, No.607及び人型菌2株を選び, 4種の培地について抗結核性を有する抗生物質及び合成物質, 計12種を用いて比較検討した。
  • 早坂 聰孝
    1955 年 8 巻 6 号 p. 220-222
    発行日: 1955/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    各科領域に於けるモニリア症について多数の報告例に接する現在, 遺憾ながら適切有効な治療薬が未だ発見されていない。細谷教授1) 2)のトリコマイシンは有効であると報告され, 既に臨床的にも応用されているが, なお全身投与は毒性, 副作用等の関係から充分でないようである。当教室において発見されたフラバシッド3) 4)は, 婦人科領域のモニリア症について外用薬として有効なことは既に報告したところであるが,やはりその毒性及び血清によつて不活性化されることから, 全身投与に適しない。ところが, 肺, 気管枝モニリア症, その他の内臓諸器官のモニリア症の治療にはもちろんのこと, 腟モニリア症等においても, しばしば再発を来たすので, 外用のみでは不充分で, 完全治癒という点から全身投与が望ましい。私はC.albicansに対して諸種薬剤の試験管内併用効果を実験中であつたが, いささかの成績を得たので, より完全な治療への一段階として発表し, 諸賢の御批判を得たいと思う。
  • ストレプトマイシン依存性菌の諸性状について
    西沢 夏生
    1955 年 8 巻 6 号 p. 223-227
    発行日: 1955/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    MILLER & BOHNHOFF1) (1947) がストレプトマイシン (以下SM) を含む培地にだけ発育できる髄膜炎菌のSM依存性株 (Streptomycin-dependent variants) を分離して以来, 多くの細菌1)-8) についてSM依存性株が分離され, SM長期治療の肺結核患者喀痰中の結核菌からも, SM加培地において発育が増強されるSM増強株 (Streptomycin-enhanced strain) 9), 或いはSM依存性株10) が分離され, その諸性状について研究されている。
    その分離の方法も, PAINE & FINLAND3) によれば, Staphylococcus aureus, Escherichia coli, Pseudomonas aeruginosa及びProteus morgagniのSM依存性株は, ただSM感受性株だけから分離され, 耐性株からは分離され得ないこと, また復元変異株(reverse mutant) は決して耐性株ではなくて, 感受性株だけであると報告されている。また, 牛場7) 等は, 腸炎菌のSM依存性株はSM耐性株のみから分離され, 且つ復元変異株もSM耐性株のみであつたと述べているし, YEGIAN, BUDD & VANDERHNDE11)は, SM感受性株, 耐性株のいずれからも, SM依存性株が分離されたと述べている。
    SM依存性変異株の病原性に関する各研究者の知見もまた, 必ずしも一致していない。即ちYEGIAN & VANDERLINDE2), DOANE & BOGEN2), 柳沢13) は, 結核菌のSM依存性株を用いておこなつた実験において, 依存性株はSMの大量を投与した場合でも, 殆んど毒力のない程度まで弱毒化されていると述べ, LENNERT & HOBBY4) もH37RV株から得た依存性株の6株中, ただ1~2株だけはマウスに対し毒力をもつているが, 他の株はマウスに対し毒力がなく, 且つSM投与によつてなんら毒力が増強されなかつたと述べている。これに反して牛場7) 等は, 腸炎菌のSM依存性株はマウスに対して病原性を示さないが, 同時にSMを投与した場合に限つて, 毒力が発揮されると述べている。また, 各種細菌のSM依存性株は, SMを栄養素 (nutrients) として利用しているものと推定されて来たが(YEGIAN & VANDERLINDE2), OWEN10), 秋葉15), 榊原16)), 近来SEVAG17), WINSTEN18) は, この点に疑問を提示している。以上の諸事実に興味をもち, また今日までに発表された大腸菌のSM依存性株に関する研究3), 16), 19), 20), 21), 22) では, その病原性に触れていないので, 著者は以下の実験を試みた。
  • コハク酸脱水素酵素によるT. T. C. 染色法
    菊地 浩, 松沢 誠
    1955 年 8 巻 6 号 p. 228-232
    発行日: 1955/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    第1報において吾々は, エオジン色素による癌細胞の染色法を抗癌物質のScreeningへ利用することを試みたが, 更にコハク酸が生活細胞の呼吸に重大な役割を占めていることを利用して, 癌細胞のコハク酸脱水素酵素によるT. T. C.(2-3-5Triphenyl tetrazolium-chloride) 染色法をおこなつて見た。
    1950年, SELIGMAN1) はDitetrazolium塩はコハク酸脱水素酵素の活性度を証明するに適した酸化還元電位を有していることを発見した。すなわち, Ditetrazoliumは還元されない型では淡黄色であるが, pH7.6, 37℃でコハク酸を基質として用いると, 生活細胞または生きた微生物にあるロバク酸は2分子の水素を奪われて,フマル酸となる。この際に生じた2分子の水素はDitetrazolium塩に作用して顆粒状の青色色素としてのDiformazanに還元される。T. T. C. についても同様の原理によつて, コハク酸から2分子の水素をとつてFormazanとなり, この際に細胞の内部に赤色の顆粒を生ずる。市川等2) は基質としてコハク酸だけでなく, Krebs環及びそれに合流する物質代謝の中間産物を基質として約19種のTetrazolium還元酵素の存在を指摘したが, そのうちでコハク酸脱水素酵素は安全であり, これを利用するのが便利のように考えられる。
    吾々は生細胞のこの発色作用を利用して, 種々の薬剤がこの発色作用を阻碍するかどうかを, 抗癌性の有無に対する判定の基準として, 抗癌物質のScreeningへの応用を試み, 種々実験をおこなつたので, その結果について報告する。
  • 基質を用いないT. T. C. 染色法
    菊地 浩, 松沢 誠
    1955 年 8 巻 6 号 p. 233-236
    発行日: 1955/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗癌物質Screeningの1方法として, 従来から被検液と癌細胞との試験管内混和後移植試験が用いられているが, その方法は動物移植後効果判定までには相当の日時を要する。従がつて, 動物を使用せずに試験管内のみで短時間の内に効果判定のできる方法がのぞまれる。吾々は第1報1) に述べたように, SCHREK等の提唱したUnstained cellcount methodの変法としてエオジン染色法 (エオジン法と略) を, 第2報2) に報告したように, コハク酸脱水素酵素によるT. T. C. 染色法 (コT. T. C. 法と略) を考案し, 両法を数種の既知抗癌物質について試用し, ほぼ試験管内混和後移植試験と一致することを知り, 且つコT. T. C. 法がエオジン法よりも優れた方法であることを認めた。しかし, 生きている組織や細胞では, 基質を用いなくとも, T. T. C. 溶液中に浸す蒔は, T. T. C. は細胞内の酵素 (主に脱水素酵素) によつて還元着色することが知られており, 御園生等3) は癌細胞中には正常細胞中よりFormazan顆粒が多数出現し, 両者の間に差異を認めうる点から, 比較的高濃度 (0.5~1%) のT. T. C. 生理食塩水溶液と膣分泌物とを載物硝子上で混和し, 37℃20分の染色で癌の診断をおこなつている。基質を用いない時のT. T. C. の還元着色はDPN (Diphosphopyridine Nucleotid) チトクロムC還元酵素によつておこることがDAVIS4)等によつて知られるに至つた。
    吾々も基質を用いずにTetrazoliurn染色によつて抗癌物質Screeningに応用できる方法を得たいと考え, T. T. C. 生理食塩水溶液と生理食塩水浮游癌細胞を用い, 実験をおこなつた結果, 見るべき成績を得たので, ここに報告する次第である。
  • Neomycin, Chloramphenicolの併用について
    小林 裕
    1955 年 8 巻 6 号 p. 237-239
    発行日: 1955/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    前報1)-5) において, 主として抗菌力の増減という面から見た2薬剤の併用効果と, 併用による耐性獲得抑制効果との間に, 相関関係が存在するかどうか, したがつて協同作用あるいは拮抗作用があるということから, その2薬剤を併用した場合の耐性獲得抑制効果を類推しうるかどうかを中心として, 2薬剤の併用効果を検討したが, この両者の間には相関関係が成立しないことを述べた。
    岩田等6) は赤痢菌のSulfathiazole耐性獲得防止に関して,組合わせる薬剤に対する耐性獲得の遅速とは, 必ずしも関係しないと述べ, 内藤7) は耐性獲得態度の異なる薬剤の組合わせが耐性獲得防止に有効であると述べている。私のstreptomycinとguanofuracin, streptomycinとchloramphenicolを組合わせた成績1) 3) では, むしろguanofuracinのほうに赤痢菌が耐性となりにくいと思われるにもかかわらず, streptomycinに対する耐性獲得防止に関しでは, chloramphenicolのほうが有効であつた。このように2種の薬剤を併用する場合, 殊に等量混合すれば, いくばくかの耐性獲得防止効果のあることは確実であるが, 一般的にいかなる薬剤の併用が有効であり, いかなるものが無効であるかを推論する根拠はいまだ充分とは言いがたい。
    ここで細菌を中心とした2種の薬剤間の関係としてもつとも問題となるのは, 交叉耐性及びSZYBALSKY等8) のいわゆるcollateral sensitivityであつて, このような現象と耐性獲得防止効果との間になんらかの相関関係が成立するかどうかが問題となる。私はstreptomycinとguanofuracinの併用1) 2) でこの点にふれたのであるが, 更に赤痢菌, サルモネラ, 大腸菌のneomycin耐性株は原株に較べてchloramphenicol感受性が敏感になるものが多い9)ことを認めたので, neomycinとchloramphenicolの組合わせについて再検討をおこなつた。
  • Streptomycin, Neomycinの併用について
    小林 裕
    1955 年 8 巻 6 号 p. 240-242
    発行日: 1955/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    SZYBALSKI等1) は大腸菌のneomycin耐性株はstreptomycinにも耐性となるが, 逆にstreptomycin耐性株はneomycin耐性とはならないと述べ, 著者等2) も赤痢菌, 大腸菌サルモネラについて同様の所見を認めた。内藤3) は, 赤痢菌についてpenicillinとchlortetracycline, chloramphenicol, oxytetracycline等との間に同様の現象を認め, これを不完全交叉耐性と称している。私は前報4) 5) 6) において, collateral sensitivityのある場合の併用による耐性獲得防止効果について報告したが, 今回は不完全交叉耐性のあるstreptomycin, neomycinの組合わせについて同様の実験をおこない, 交叉耐性が耐性獲得防止に, どのように影響するかを明らかにしようとした。
  • 1955 年 8 巻 6 号 p. 247-251
    発行日: 1955/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 1955 年 8 巻 6 号 p. 252-270
    発行日: 1955/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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